パッケージング技術がワンチップ化の限界を突破:福田昭のデバイス通信(102) TSMCが解説する最先端パッケージング技術(1)(2/2 ページ)
システムを複数のチップに分けてから高密度に集積化したパッケージは、SiP(System in Package)と呼ばれる。「ムーアの法則」を拡張するために、新しいSiP技術あるいはパッケージング技術が次々に登場している。今回から始まる新シリーズでは、こうした新しいパッケージング技術を紹介したい。
SoC(システムオンチップ)からSiP(システムインパッケージ)へ
システムをワンチップ化したシリコンは、システムLSIあるいはSoC(System on a Chip、呼称は「エスオーシー」)と呼ばれている。これに対してシステムを複数のチップに分けてから高密度に集積化したパッケージは、SiP(System in Package、呼称は「シップ」)と呼ばれることが少なくない。
最先端のパッケージング技術、あるいはSiP技術に求められるのは、外形寸法をワンチップと近い水準にまで小さくするとともに、消費電力を低減し、性能を高め、多くの機能を収容することである。
具体的には頭文字が「P」の3つの指標と、頭文字が「C」の2つの指標で与えられる。「Performance(性能)」「Power(消費電力)」「Profile(外形寸法)」、それから「Cycle time(開発期間)」「Cost(コスト)」である。
「Performance(性能)」は動作周波数やデータ転送速度(帯域幅)、機能などを指す。「Power(消費電力)」は消費電力そのもののほか、性能当たりの消費電力(電力効率)を意味する。「Profile(外形寸法)」は、プリント基板の占有面積と厚み(薄さ)のことである。
「Cycle time(開発期間)」はパッケージの構造と製造工程で決まる。「Cost(コスト)」は材料コストと生産歩留まりによって左右される。
(次回に続く)
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