テスラの死亡事故、ドライバーに何度も警告:米機関が調査結果を公表(前編)(3/3 ページ)
2016年、自動運転モードで走行していたTesla Motors(テスラ)「Model S」が大型トレーラーと衝突し、Model Sのドライバーが死亡するという事故が発生した。“自動運転中の初の死亡事故”ということで大きな話題を呼んだこの事故について、米国家運輸安全委員会は、500ページに上る調査結果を公表した。
ドライバーの顔認識を導入したGM
Magney氏は「Teslaのオートパイロットシステム(AP 1およびAP 2)では主に、ハンドルに取り付けられたセンサーを通じて、ドライバーの関与を測定する。そのような方法は、ドライバーの注意力を測る方法として適切ではないとわれわれは考えている。GM(General Motors)も、この点を踏まえた上で、半自動運転機能『Super Cruise』に、カメラでドライバーの顔を認識する技術の採用を決めた。これによって、ドライバーの意識がはっきりしているか、十分な注意力があるかなどを、顔の表情から判断できる」と続けた。
Magney氏は、GMのシステムでは「ハンドルに手を置くこと」が要求されていない点を強調する。GMがこのシステムを、「世界初の“ハンズフリー”自動化ソリューションである」と主張するのはそのためである。Magney氏は「GMのシステムは、ドライバーがどの程度運転に関わっているかを測定する技術として、より優れている」との考えを示した。
Strategy AnalyticsのアナリストであるとAngelos Lakrintis氏は、NTSBのレポートを読んだ後、EE Timesに対し「オートパイロット機能が衝突を避けることに失敗したと考えて間違いないだろう。正常に機能する自動運転技術を実現してから、『オートパイロット機能』として導入してほしい」と語った。
Linley GroupのDemler氏は「いずれにせよ、今回のレポートによって、レベル3(Teslaのオートパイロット機能はレベル2と説明されているが)のADAS(先進運転支援システム)は、人間のドライバーへのハンドオーバーに頼っていることから、危険をはらんでいるという考えが強まった」と結論づけた。
Teslaは2016年秋、オートパイロット機能の改良を発表した。具体的には、人間がハンドルを握っていない状態での運転に対して新たな制限を加えた他、あのような衝突死亡事故を防げたであろう機能を追加した。最新バージョンのシステムは、ドライバーが音響警告に反応せず、ハンドル制御を取り戻さなかった場合、一時的にシステムを利用させないようにするという。だが、ハンドルに取り付けられたセンサーによって、ドライバーが道路に注意を向けているかを判断するという点は変わっていないようだ。
(後編に続く)
【翻訳:青山麻由子、田中留美、編集:EE Times Japan】
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