東芝17年度Q1決算、メモリの営業利益率35%に:Q1として過去最高の営業益計上
東芝は2017年8月10日、2018年3月期(2017年度)第1四半期(2017年4〜6月)決算を発表。メモリ事業が好調だったことなどから第1四半期として過去最高の営業利益967億円を計上した。
遅延していた16年度決算とともに発表
東芝は2017年8月10日、開示が遅れていた2017年3月期(2016年度)決算と、2018年3月期(2017年度)第1四半期(2017年4〜6月)決算を発表した。
東芝の2016年度決算は、米国連結子会社だったウェスチングハウス(=2017年3月29日付で米国連邦倒産法第11章に基づく再生手続きを開始し東芝の連結対象から除外/以下、WH)に関する部分で決算、監査手続きが完了せず、開示が遅延。2017年8月10日に、独立監査人から監査報告書を受領し、決算の開示に至った。
2016年度決算の内容は、2017年6月23日に公表した業績見通しからおおむね変更がなく、売上高4兆8708億円(前年比5.5%減)、営業利益2708億円(前年は4830億円の損失)、税引き前利益2255億円(前年は3994億円の損失)、最終損失9657億円(前年は4600億円の損失)。WHの再生手続きなど海外原子力事業撤退損失(=1兆2982億円)が響き、巨額の最終赤字計上となった。
好調メモリが収益引っ張る
2017年度第1四半期業績は、メモリが大幅増収になった他、各事業ともに増収を達成し、売上高1兆1436億円で前年同期比8.2%増。営業利益も、メモリ価格が安定に推移したことなどから、前年同期から804億円改善し967億円となった。967億円という営業利益規模は、第1四半期としては過去最高。最終利益については、前年同期に家電事業の売却益を計上していたこともあり、前年同期比295億円減の503億円となった。
全社収益をけん引したメモリ事業を含むストレージ&デバイスソリューション部門の2017年度第1四半期業績は、売上高4564億円(前年同期比848億円増)、営業損益1043億円(同802億円増)で、営業利益率は前年同期の6.5%から22.9%に大きく上昇した。メモリ事業単独では、売上高2578億円(前年同期比667億円増)、営業利益は903億円(前年同期比730億円増)で、営業利益率は35.0%に達した。HDD事業は売上高1068億円(同35億円増)、営業利益67億円(同20億円増)。メモリを除く半導体事業は、売上高918億円(同146億円増)、営業利益73億円(同52億円増)でいずれも増収増益を達成している。
2017年度通期業績予想は、売上高4兆9700億円、営業利益4300億円、最終損益2300億円とする。そのうち、ストレージ&デバイスソリューション部門は、売上高1兆9200億円、営業利益4150億円を見込んでいる。
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