東芝、メモリ売却でWDや鴻海とも交渉:産業革新機構などに並行し
東芝は2017年8月10日、メモリ事業の売却に関し、WesternDigital(ウエスタンデジタル)や鴻海精密工業(Hon Hai Precision Industry)などとも交渉を行っていると明らかにした。
年度内売却微妙な情勢も「最善を尽くしていきたい」
東芝は2017年8月10日、メモリ事業の売却に関し、WesternDigital(ウエスタンデジタル/以下、WD)や鴻海精密工業(Hon Hai Precision Industry/以下、鴻海)などとも交渉を行っていると明らかにした。
東芝は、債務超過を解消するために2018年3月期(2017年度)中にメモリ事業を売却する方針で、2017年6月21日には、産業革新機構、BainCapital(ベインキャピタル/本社:米国)、日本政策投資銀行(DBJ)からなるコンソーシアムを優先交渉先と定めた。しかし、メモリ事業で協力関係にあるWDがメモリ事業売却に難色を示し、訴訟に発展。そうした中で、産業革新機構などのコンソーシアムと最終合意に至っていない。
東芝 社長の綱川智氏は8月10日に開催した2017年度第1四半期決算会見の席上、「(当初2017年6月28日としていた)目標期日までに合意に至らず、産業革新機構など以外の他の候補とも並行して交渉している」と認め、他の交渉先としてWDと鴻海の名前を挙げた。
これらの売却先候補と合意に至った場合でも、各国の独禁法当局からの承認を得るには少なくとも半年程度の時間を要するとみられ、2017年度中の売却成立は既に微妙な状況となりつつある。綱川氏は「独禁法を考えると決して容易ではないと考えているが、最善を尽くしていきたい」とした。仮に2017年度中にメモリ事業を売却できなかった場合、2016年度末に続き、2期末連続での債務超過に陥り、上場廃止となる公算が高いが綱川氏は「(2018年)3月末までに売却することは可能と考え、最善を尽くしている。間に合わなかった場合のことは、今のところ考えていない」と繰り返した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 東芝17年度Q1決算、メモリの営業利益率35%に
東芝は2017年8月10日、2018年3月期(2017年度)第1四半期(2017年4〜6月)決算を発表。メモリ事業が好調だったことなどから第1四半期として過去最高の営業利益967億円を計上した。 - 東芝のメモリ新製造棟、SanDiskは投資せず
東芝は、東芝メモリの四日市工場第6製造棟における生産設備について、米SanDisk(Western Digitalの子会社)の投資参加に関する協議が合意に至らなかったため、東芝メモリ単体で投資を継続すると発表した。投資総額は、当初の1800億円から150億円増額し、1950億円となる予定だ。 - WD、東芝とのメモリ合弁事業に投資継続の意思を強調
Western Digital(ウエスタンデジタル/WD)は2017年8月2日(米国時間)、東芝とのNAND型フラッシュメモリの合弁事業に対し、今後も投資を行うとの声明を発表した。この発表の直前に東芝は、東芝メモリのメモリ新製造棟(四日市工場)への投資について協議中だったSanDisk(サンディスク:WDの子会社)と合意に至らなかったため、東芝メモリ単体で投資を続行すると発表していた。 - 新日鉄住金、SiCウエハー事業から撤退へ
新日鐵住金(新日鉄住金)は2017年8月7日、パワー半導体向けSiC(炭化ケイ素)ウエハーに関する研究開発および、事業について2018年1月末をめどにに終了すると発表した。関連資産については、昭和電工に譲渡するという。【訂正あり】 - 米半導体業界、ポスト・ムーアの技術を模索
米国防高等研究計画局(DARPA)は、来たる「ムーアの法則」の終息に備え、“ポスト・ムーア時代”の技術の模索を本格化させている。材料、アーキテクチャ、設計の自動化の3つにターゲットを絞り、まずは2億米ドルを投資してプロジェクトを行う予定だ。