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新材料「二酸化ハフニウム」が強誘電体になる条件福田昭のストレージ通信(70) 強誘電体メモリの再発見(14)(2/2 ページ)

強誘電体の二酸化ハフニウムがを作製するには、添加物をドーピングする方法と、二酸化ジルコニウムとの混晶による方法の2種類がある。今回は、これらの方法において二酸化ハフニウムが強誘電体となる条件と、結晶構造との関係について解説する。

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3種類の結晶の比率がドーピングの比率によって変化する様子

 二酸化ハフニウム(HfO2)あるいはHZOの結晶内部は、同一の構造の結晶で占められている訳ではない。通常は、上記の3種類の結晶粒が混ざっている。どの構造の結晶粒(結晶相)が多くを占めているかによって、結晶全体の性質が変化する。

 例えば二酸化ハフニウムにシリコン原子をドーピングした場合だと、0%〜3%のときは単斜晶相の割合が最も多い。このときシリコンの含有量が増えるとともに、単斜晶相の割合は急速に減少し、直方晶相の割合が上昇していく。

 シリコンの含有量が3.5%〜4%で直方晶相の割合は最大となる。と同時に、強誘電体としての性質も最大となり、電圧分極特性はヒステリシス曲線を描くようになる。また比誘電率が最大となる。そしてシリコンの比率が4%を超えると、正方晶相の割合が上昇するとともに直方晶相の割合が減少し、強誘電体としての性質は急激に弱まっていく。シリコンの比率が5%を超えると、正方晶相の割合が最大となる。


二酸化ハフニウムにシリコンをドーピングしたときの電圧分極曲線と残留分極、比誘電率、結晶相の比率の変化。シリコンの比率を1.5%〜7.5%まで変化させたときの特性を調べた結果である。出典:NaMLabおよびドレスデン工科大学(クリックで拡大)

高温での熱処理が必須

 結晶の作製条件で重要なのが、温度である。ある程度は高温にしなければならない。低温だと、結晶ではなく、アモルファスになってしまう。ドーピングの場合はドーピングの比率が高くなるほど、結晶にするために必要な最低温度が高くなる傾向にある。逆にHZO混晶の場合は、ジルコニウムの比率が高くなるほど、結晶化に必要な最低温度は下がっていく。


ドーピング条件(左)、混晶比率(右)と結晶化条件および結晶相。出典:NaMLabおよびドレスデン工科大学(クリックで拡大)

次回に続く

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