Huawei、17年6〜7月のスマホ売上高でAppleを抜く:Samsungに次いで2位に
Huaweiが、2017年6〜7月の世界スマートフォン売上高において、Appleを上回り、Samsung Electronicsに次ぐ2位となった。
HuaweiがSamsungに次いで2位に
香港の市場調査会社であるCounterpoint Technology Market Researchによると、Huaweiが、2017年6〜7月の世界スマートフォン売上高ランキングにおいて初めてAppleを追い抜き、Samsung Electronicsに次ぐ第2位の座を獲得したという。
Counterpointは、2017年9月5日付のレポートの中で、「中国最大手のスマートフォンメーカーであるHuaweiが、2017年6〜7月の世界スマートフォン売上高において、Appleを超えることができた要因としては、主に中国の国内市場の消費者需要が高かったという点が挙げられる」と指摘する。米国のデータプロバイダーであるStatistaによれば、中国は、全世界19億人のユーザーの約3分の1を抱える、世界最大のスマートフォン市場である。
Counterpointでリサーチディレクターを務めるPeter Richardson氏は、レポートの中で、「Huaweiが今回、世界的規模の業績を実現することができたのは、これまで研究開発と製造の分野に絶えず投資を行い、積極的なマーケティングと販売チャネルの拡大に取り組んできた成果だといえる。ただ今回は、毎年恒例の新型『iPhone』の発表が間近に迫っていたこともあり、iPhoneの買い控えによる一時的な結果だったかもしれないが、Huaweiのこれまでの高い成長率が明確に示されたといえるだろう」と述べている。
なお、Appleは2017年9月12日(米国時間)に、「iPhone 8」「iPhone 8 Plus」「iPhone X」を発表した(関連記事:Apple、「iPhone X」でさらなるブランド力強化へ)。
Huaweiをはじめとする中国のスマートフォンメーカーは、スマートフォン市場が飽和してくると、ハイエンドスマートフォンと同等の多彩な機能を低価格で提供することにより、世界2大トップブランドであるSamsungとAppleから市場シェアを奪ってきた。
中国メーカーの存在感が強まるスマホ市場
Counterpointはレポートの中で、「HuaweiやOPPO、Vivo、Xiaomiは、主要なサプライチェーンパートナーと協業できるようになったことで、ベゼルレスの全面ディスプレイや、AR(拡張現実)機能、自社開発のチップセット、高性能カメラ機能を搭載した設計を実現し、ライバル企業と肩を並べるまでになった。こうしたプレイヤー企業は、高い市場シェアを獲得している既存のリーダー企業よりもはるかに速いスピードで成長し続けていることから、グローバルなサプライチェーンやアプリケーション開発メーカー、流通チャネルなどにとって、SamsungやAppleと同じくらい重要な存在になってきている」と述べる。
しかしHuaweiにとって、世界第2位の座を維持していくことは、非常に難しいのではないだろうか。Counterpointはレポートの中で、「Huaweiは、南アジアやインド、北米などの市場での存在感が薄いため、短中期的に見ると、Samsungに続く世界第2位の座を維持するには限界があるだろう。Huaweiは、自らがリーダー的地位を享受することが可能な中国市場の他、欧州や南米、中東など、Huaweiが通信機器事業を主軸に置いている地域に、過度に依存している状況にある」と指摘する。
Counterpointは、「Huaweiは、世界第2位の座に上り詰めたものの、同社のスマートフォンの機種の中で、トップ10ランキングに入ったものは1つもなかったようだ」と分析する。CounterpointのアナリストであるPavel Naiya氏は、レポートで「Huaweiは多数の機種をそろえていても、フラグシップとなる機種がまだない。機種が多様過ぎる故に、幅広いユーザー層にアピールできるものの、ブランドの認知度向上には苦戦している」と説明している。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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