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ついに車載分野にも浸透し始めた中国製チップ:製品分解で探るアジアの新トレンド(20)(3/3 ページ)
ひと昔前まで、高品質なチップが要求される車載分野で中国製チップが採用されることは、まずなかった。しかし、今回カーナビゲーションを分解したところ、インフォテインメント系システムにおいては、そんな時代ではなくなっていることを実感したのである。
中国チップは自動車分野にも
図4は、TB706に搭載される、その他の中国チップ群の様子である。メーカーや型名は有償のテカナリエレポートで明記しているが、多くは極めて重要なファンクションチップとして機能するものである。ARMの「Cortex-M4」コアを有するBluetooth通信マイコン、ディスプレイ操作を行うタッチコントローラーなどは中国製。その他、電源系チップも多くの中国チップが使われている。
一昔前は、クルマのような、堅牢で品質の高いチップが必要とされる分野には、中国製半導体は皆無であった。カーナビはクルマの中では制御機能に関与しない、どちらかと言えばスマホに近い情報系で、この部分では中国チップでも問題ないという意見もある。
しかし、今回の分解結果から分かるように、中国チップ群が自動車分野にも浸透し始めていることは間違いない。今後は、中国製のECU(電子制御ユニット)なども入手して、報告していく予定だ。
ちなみに日本製の2017年モデルのカーナビも複数台分解してみたが、重厚かつ細部まで丁寧に作り込まれており、ここはさすがだと感心させられた。だが、中国製カーナビと並列で見てしまうと、過剰感も生じてしまう部分があるのも否めなかったのである。
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