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天体引力による地球の変形を捉える水晶センサー100万分の5度を検知!

日本電波工業は2017年9月13〜15日に開催されている展示会「センサエキスポジャパン」で100万分の5度を検出できる水晶を応用した傾斜センサーシステムを公開している。天体引力の影響で変化する地球表面の様子を捉えることができるという。

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日本電波工業、センサエキスポジャパンで公開

 月や太陽などの引力(天体引力)の影響で地球が変形する現象である地球潮汐(ちょうせき)を捉えられるセンサーを水晶で実現――。

 日本電波工業は2017年9月13〜15日の会期で開催されている展示会「センサエキスポジャパン」(東京ビッグサイト)で、100万分の5度(5.0×10−6度)を検出できる傾斜センサーを公開した。水晶を応用したセンサーで、地球潮汐や山体膨張など微小な変化として現れる自然現象の観測や構造物の経時変化検出などの用途での応用を目指す。

 開発した傾斜センサーは、水晶発振子と発振回路、センサー部で構成。センサー部は数十マイクロ厚の水晶による可動部(カンチレバー/片持ちはり)と固定部にそれぞれ電極を形成。重力や加速度で水晶可動部がたわむことで電極間の距離が変化し、静電容量も変わる。このセンサー部を発振子、発振回路と直列接続し、静電容量の変化で変わる発振周波数から傾斜角を割り出す仕組みのセンサーになっている。


センサエキスポジャパン 日本電波工業ブースに展示された傾斜センサーシステム。写真左の銀色のケースが傾斜センサーで、ケース内に発振器と水晶カンチレバーによるセンサーデバイスが入っている。写真中央は、発振周波数の変化を角度に変換するアナライザー。タブレット端末(写真右)にリアルタイムで角度が表示される。
左=傾斜を検知する仕組みに関する説明資料(出典:日本電波工業) /右=水晶による可動部(カンチレバー)。セラミックなどの素材よりも水晶は柔軟性に富み、温度による収縮なども少ない利点があり、高精度の角度/加速度検出に向くという (クリックで拡大)

長さ42mの計測器と同一の結果

 日本電波工業は、この水晶による傾斜センサーを東京大学森田裕一教授らの協力を得て、鋸山地殻変動観測所で実際に地球潮汐を計測する実証試験を実施。その結果、鋸山地殻変動観測所で実際に運用している長さ42mにも及ぶ巨大な水管傾斜計による計測結果と開発した水晶傾斜センサーの計測結果がほぼ一致し、100万分の5度という極めてわずかな傾きを検出できたことを確認したという。ブース説明員は「42mの巨大な装置が必要だった微小な傾斜測定を4cm角の小型センサーで実現できた」と胸を張る。

 なお、長さ6kmの板の片側を1mm持ち上げた際の傾斜角が10万分の1度(1.0×10−5度)であり、いかに開発した傾斜センサーは微小な変化を捉えられるかが分かるだろう。

 日本電波工業では、長年にわたり培ってきた高精度の水晶発振技術と、高精度の水晶加工技術などで傾斜センサーを実現。また、発振周波数の変化を傾斜角にリアルタイム変換するシステムは、既に実用化している発振周波数の変化で微小な重量を検知するセンサー(関連記事:“なんとなく”じゃない! ビールのコクが分かるクリスタル)などで培った技術を応用し実現したという。

アウトガスを検出するセンサーも国内初公開

 センサエキスポジャパン 日本電波工業ブースでは、宇宙航空研究開発機構(JAXA)と共同開発したQCM熱重量測定センサー(関連記事:NDKとJAXA、宇宙用材料向けガス計測センサー開発)を展示している。2017年3月に発表したセンサーだが、国内で一般公開したのは今回が初めて。同センサーは、さまざまな物体から放出されるガス(アウトガス)の種類や量を検出でき、宇宙航空向け部品材料の他、半導体製造設備や住宅建材、医薬品、食品の研究開発用途などにも応用できるという。

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