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二酸化ハフニウムを使った強誘電体トランジスタの研究開発(後編)福田昭のストレージ通信(77) 強誘電体メモリの再発見(21)(2/2 ページ)

後編では、二酸化ハフニウム系強誘電体トランジスタ(FeFET)の特性について見ていこう。動作電圧やデータ書き込み時間などは十分に良い特性だが、長期信頼性については大幅な改善が必要になっている。

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二酸化ハフニウム系FeFETは長期信頼性の確保が課題

 その他の特性はどうだろうか。動作電圧は4V〜6Vとそれほど高くない。データの書き込みに必要な時間は100ナノ秒以下と、これも十分に短い。

 問題なのは長期信頼性である。具体的にはデータ保存期間と書き換え可能回数を大幅に改良する必要がある。

 データ保存期間は、室温では10年を確保できる見通しが得られている。しかし高温になると、データ保持期間が一気に短くなる。あるいは、読み出しの信号マージンが低下する。さらなる改良が望まれる。

 書き換え可能回数は、さらに見劣りする。104サイクル〜105サイクルと短い。トランジスタ単体、すなわちメモリセル1個でこのサイクル寿命というのは、ある程度の記憶容量を想定すると、かなり厳しい値である。従来型材料と同様の値、例えば108サイクル程度の寿命が得られないと、実用化はかなり難しいと言わざるを得ない。今後の研究開発の進展が待たれる。


二酸化ハフニウム系FeFETの長期信頼性。左はデータ保持期間。室温(25℃)であれば、10年の保存期間を確保できる。右は書き換えサイクル寿命。10の3乗サイクル〜10の4乗サイクルで、劣化が起きている。出典:NaMLabおよびドレスデン工科大学(クリックで拡大)

次回に続く

⇒「福田昭のストレージ通信」連載バックナンバー一覧

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