土壌センサー、地中に埋め込み直接モニタリング:農業や製造業のIoT化を支える
ラピスセミコンダクタは、「Embedded Technology 2017(ET 2017)/IoT Technology 2017」で、農業や製造業などに向けたIoT(モノのインターネット)ソリューションを提案した。
モノの動きや状態をリアルタイムに検出
ロームグループのラピスセミコンダクタは、組み込み技術とIoT(モノのインターネット)技術の総合展「Embedded Technology 2017(ET 2017)/IoT Technology 2017」(2017年11月15〜17日、パシフィコ横浜)で、農業や製造業などに向けたIoTソリューションと、それを支えるキーデバイスを展示した。
来場者の注目を集めたのが、地中のpH(水素イオン濃度指数)などをリアルタイムにモニタリングできる土壌センサーユニット「MJ1011」である。ブースでは、水田などでの用途を想定し、太陽電池モジュールと組み合わせた920MHz帯の特定小電力無線通信による土壌環境モニタリングシステムも紹介した。
MJ1011は、本体を直接地中に埋め込んで使用できるセンサーユニットである。ISFET(Ion Sensitive Field Effect Transistor)方式によるpH測定の他、電気伝導度(EC)や含水率、地中温度と4項目をリアルタイムで測定することができる。測定範囲はpHが2〜9、温度は0〜60℃、ECは0.001〜50mS/cm。
先端部のセンサーヘッド部は、ワンタッチで交換可能となっている。同ユニットにはローパワーマイコンやアナログフロントエンドICなどを搭載。消費電流は計測時で20mA、待機時は27μAと極めて少ない。外形寸法は122×42×42mmと小型で、環境耐性防水規格「IP67」にも対応している。農業や社会インフラでの応用を想定しており、太陽電池モジュールでの動作が基本となるが、実装した蓄電デバイスだけでも約1週間はシステム動作が可能だという。
既存設備に追加するだけで装置の稼働状況を監視
産業用IoTソリューションとして提案したのが、工場内にある既存設備の稼働状況をモニタリングするシステムである。同社が提案するソリューションは、ゲートウェイやセンサーノードとしてIoTリファレンスデザインシリーズ「Lazurite」を用い、CT(Current Transformer)センサーや温度、湿度、気圧、照度センサー、磁気センサーなどで収集したデータを上位のサーバなどに伝送することができる。収集したデータを分析し「見える化」するためのソフトウェアも用意している。
ブースでは、8カ所のコーナーに設置された電子機器の電源コードにクランプ型CTセンサーを取り付け、リアルタイムで電流を検知。それぞれの消費電力をディスプレイに表示した。各コーナーに設置された電子機器を、工場内に設置された製造設備と想定すれば、各装置の消費電力をモニタリングすることで、各装置の稼働状況が分かるという。
「既存工場のIoT化を進めようとすると、新規設備の導入や大規模な工事が必要となる。当社のソリューションを採用すると、センサーノード当たり数千円の追加投資で済む」(説明員)と話す。
大量のセンサーデータを収集しクラウドへ伝送
もう1つはIoTフレームワーク「Tensolve」で、人の動きやモノの状態を検知する仕組みである。加速度センサーを内蔵した小型のBluetoothビーコン製品「MJ8930」と、このビーコン信号を受信する機能および、Wi-SUNによる送信機能を備えたブリッジボックス製品「MJ8920」からなる。ブースでは、説明員が首にかけたMJ8930をブリッジボックスが検知し、説明員の位置をリアルタイムでディスプレイに表示するデモを行った。
ブリッジボックスは、各社のBluetooth対応機器とデータ通信を行うことができ、工場や建設現場などにおける作業員の作業場所確認だけでなく、心拍測定機能を持つ端末機器などと組み合わせると、介護施設やフィットネスクラブなどでの応用も可能だという。これら大量のデータはブリッジボックス経由で容易にクラウドへ伝送することができる。
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