堅調なTSMC、5nmのリスク生産は19年Q1にも開始:7nmでシェア100%を狙う?(2/2 ページ)
TSMCは、半導体メーカーのファブライト化や、HPC(High Performance Computing)向けチップの需要の高まりにより、堅調な成長を続けている。7nmや5nmプロセスの開発も順調だとする。
QualcommがSamsungからTSMCに戻る?
TSMCは、2018年6月に、新たに7nmプロセス技術を適用した製造を開始することにより、同市場において100%のシェアを確保できるようになると期待しているようだ。
アナリストのAndrew Lu氏は、「こうした予測には、Samsung ElecrtonicsとQualcommの動向が反映されている」と指摘する。
同氏は、シンガポールの市場調査会社Smartkarma向けに作成したレポートの中で、「これはつまり、Qualcommが、同社にとって初となる7nmプロセスチップの量産を、再びTSMCに切り替えようとしていることを示唆している。Samsungは、7nmプロセス技術において、EUV(極端紫外線)リソグラフィ技術を完全に適用することを決定しているため、7nmプロセスの量産開始時期を遅らせる可能性がある。Qualcommは数年前に、同社のプロセッサ『Snapdragon』を製造するファウンドリーを、TSMCからSamsungに切り替えている」と述べる。
5nmのリスク生産は2019年にも開始
TSMCは、「2018年第1四半期に、顧客企業向けに10種類の7nmプロセスチップをテープアウトする予定だ。2018年全体では、計50種類のテープアウトを予定している」と述べる。
TSMCにとって初となる7nmプロセスチップは、大半がスマートフォン関連の顧客企業向けに提供され、その次にHPC関連の顧客企業向けが続くとみられる。同社の予測によれば、7nmプロセスチップは、2018年における同社の売上高全体の約10%に達する見込みだという。
同社は、7nmプロセス技術の開発に続き、2019年には、7nmプロセスの複数層にEUVリソグラフィを適用した「N7+」プロセス技術を発表する予定だとしている。N7+プロセスでは、EUVリソグラフィの適用により、ウエハー当たりのダイ数を、N7と比べて10%増加させることが可能だという。
さらにTSMCは、「2019年第1四半期には、予定通り5nmプロセスのリスク生産を行う。現在、顧客企業向けに、5nmプロセスのテストチップの開発を進めているところだ」と述べている。
TSMCは、7nm/5nmプロセスチップの開発において、出力160WのEUVリソグラフィ装置を使用しているという。ただ、出力250WのEUVリソグラフィ装置も既に設置していて、2019年に導入するN7+プロセスと、2020年に導入する予定の「N5」プロセスでは、250Wの装置を使うことになるだろうと強調した。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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