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技術講演の最終日午前(その4)、周波数を88倍に高めるクロック発生回路福田昭のデバイス通信(135) 2月開催予定のISSCC 2018をプレビュー(11)(2/2 ページ)

「ISSCC 2018」最終日の技術講演から、セッション23〜25のハイライトをお届けする。周波数が300GHzと極めて高い発振器の他、GaNデバイスを駆動する電源回路技術、5GHzのクロックを発生する回路などが紹介される。

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GaNデバイスを利用する高電圧で高効率の電源回路

 セッション24の「窒化ガリウム用のドライバとコンバーター」では、窒化ガリウム(GaN)のトランジスタを駆動する電源回路技術が披露される。GaNトランジスタを使うと、Siトランジスタよりも高電圧、高効率の電源回路を実現できる。

 University of Texas at DallasとTexas Instrumentsの共同研究チームは、スイッチング周波数が2MHzと高いDC-DCバスコンバーターを発表する(講演番号24.1)。入力電圧は150V〜400Vと高い。ZVS(Zero Voltage Switching)をセンシングする回路によってターンオンの遅延時間を13ナノ秒と短くするとともに、変換損失を1.6Wに抑えた。

 University of Texas at Dallasは、車載エレクトロニクス用に入力電圧が3V〜40Vでスイッチング周波数が10MHz〜50MHzと高いDC-DCコンバーターも報告する(講演番号24.3)。デッドタイムとデューティ比を最小化する工夫を導入することで、絶縁形のゲートドライバを実現した。40Vの入力電圧を3.3Vに降圧したときのデッドタイムは最小で0.2ナノ秒と短い。オンダイで接地を分離することにより、コモンモード過渡耐圧(CMIT:Common Mode Transient Immunity)を50V/秒に高めている。


2月14日(水曜日)午前の注目講演(その8)。セッション24(窒化ガリウム用のドライバとコンバーター)から(クリックで拡大)

54MHzの水晶発振器から5GHzのクロックを生成

 セッション25の「高速リンク向けのクロック発生」では、注入同期(インジェクションロッキング)現象を利用したクロック発生回路の発表が相次ぐ。注入同期技術では、低い周波数の発振器から高い周波数の発振器に信号を注入することにより、高い周波数の発振器の位相を制御する。この手法により、高い周波数での広帯域発振と位相雑音の低減を両立可能になる。

 Xilinxは、注入同期技術と位相補間技術を採用した直交クロック発生回路を発表する(講演番号25.1)。クロック発生の周波数は4GHz〜16GHzとかなり高い。直交位相の誤差は1度未満、位相補間の積分非直線性誤差(INL:Integral Non Linearity)は1.5LSB未満である。製造技術は7nmのFinFET技術と極めて微細。消費電力は22.4mW。

 University of Illinoisは、水晶発振器の発振周波数を4倍に上げる回路と注入同期回路を組み合わせることにより、5GHzと高いクロックを発生する回路を開発した(講演番号25.2)。水晶発振器の発振周波数は54MHz、クロック発生回路の出力周波数は4.752GHzである。トータルでは88倍に周波数を高めた。4.752GHzのクロックを出力したときに、RMSジッタは366フェムト秒。消費電力は6.5mW(水晶発振器の消費電力1.5mWを含む)。製造技術は65nmのCMOSプロセス。


2月14日(水曜日)午前の注目講演(その9)。セッション25(高速リンク向けのクロック発生)から(クリックで拡大)

次回に続く

⇒「福田昭のデバイス通信」連載バックナンバー一覧

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