デンソーがルネサス株保有比率を5%に引き上げ:革新機構保有率は50%未満に
デンソーは2018年3月9日、ルネサス エレクトロニクス(以下、ルネサス)の株式保有比率を引き上げると発表した。産業革新機構の保有株の一部を買い取る。これにより産業革新機構のルネサス株保有比率は50%未満になる。
三菱電機を上回る4番目の大株主に
デンソーは2018年3月9日、ルネサス エレクトロニクス(以下、ルネサス)の株式保有比率を引き上げると発表した。産業革新機構が保有するルネサス普通株式7502万6425株を市場外相対取引で取得する。これにより、デンソーのルネサス株保有比率は、従来の0.5%から5%になる。同時に産業革新機構のルネサス株保有比率は45.6%と50%を下回り、ルネサスの親会社以外の支配株主に該当しないことになる。
ルネサスの株式を巡っては、ルネサスが経営再建を目的に2013年9月に実施した第三者割当増資により産業革新機構が議決権の69.16%を取得(関連記事:ルネサスの“実質国有化”が完了)。以来、産業革新機構は、ルネサスの親会社以外の支配株主として経営再建を支援。その後、ルネサスの経営状況が改善していく中で産業革新機構は、2017年6月に一部ルネサス株の売却を実施し、議決権保有割合を50.1%まで引き下げていた(関連記事:産業革新機構などルネサス株を売り出しへ)。今回、デンソーへの一部株式の売却に伴い、議決権保有比率は45.6%にまで下がり、ルネサスの親会社以外の支配株主から、その他の関係会社に位置付けが変わることになった。
デンソーはルネサスが実施した2013年9月の第三者割当増資時に、議決権保有比率0.5%分のルネサス株を取得。今回、ルネサス株を議決権保有比率5%まで買い増すことで、ルネサスとの協業関係を強化し、自動運転などに向けた車載システムの開発加速を図る方針。議決権保有比率5%は、産業革新機構、日本トラスティ・サービス信託銀行(=NEC退職給付信託分/保有比率6.42%)、日立製作所(保有比率5.55%)に次ぐ4番目で、三菱電機の4.54%を上回ることになる。
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