生体情報と機械学習で長期ストレスを高精度に推定:ストレスリスクを早期に発見
従業員の皮膚温度や皮膚電気活動といった生体情報から、長期ストレスのレベルを高精度に推定する技術をNECが開発した。
細かな差異を捉える「生体情報特徴量」を考案
NECは2018年4月、従業員らが身に付けたウェアラブルセンサーで収集した生体情報から、長期ストレスのレベルを、高精度に推定する技術を開発したと発表した。長期ストレスを常に推定、把握することが可能なため、高いストレス状態になることを未然に防止できる。
新たに開発したのは、「生体情報特徴量」の抽出方法である。機械学習を用いて、複雑な関連性を持つ生体情報から、長期ストレスに関するストレス値の差異を表現する。「一時的に大きなストレスを受けた場合、その後はわずかなことでもストレスと感じる」という心理学の知見を活用した。これによって、リストバンド型ウェアラブルセンサーで収集した皮膚温度や皮膚電気活動、加速度などの生体情報から、高い精度で長期ストレスのレベルを推定することが可能となった。
特に、1カ月にわたって生体情報の特徴に変化がない場合と、その間に大きなストレスを感じて特徴が変化した場合を区別する。長期にわたってその変化を捉えることで、細かな差異を測定することができるという。しかも、高ストレスの兆候も精度よく検出できることが分かった。
リストバンド型ウェアラブルセンサーを用いて同社従業員の生体情報を収集し、個人の長期ストレス度を推定する実証実験を実施。アンケートによるストレス度調査と比べた結果、平均誤差±3.3と高い精度で長期ストレスを推定できることを確認した。従来手法では高低の2段階しか区別できなかったが、高精度な同技術によって高ストレスの兆候も含めてそのレベルを6段階で区別できるという。
NECは、開発した技術を活用することで、従業員のストレスリスクを早期に発見し、その対策を講じることが可能になるとみている。
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