自動車開発、設計+テスト手法で差異化する時代に:NIWeek 2018(2/2 ページ)
National Instruments(NI)のユーザー向け年次カンファレンス「NIWeek 2018」(2018年5月21〜24日、米国テキサス州オースチン)では、自動車が主要テーマの1つとなっていた。自動車の電動化が進む中、自動車向けテストシステムはどのように変化しているのか。
自動車市場は動的で不透明
EETJ 自動車市場は、電動化や自動運転といった共通のトレンドはあるものの、国や地域によって随分異なります。現在の市場に対する見解をお聞かせください。
Phillips氏 極めて動的で不透明、というのが正直なところだ。例えば自動運転については、同市場に参入することを表明した企業はたくさんあるが、どうマネタイズするつもりなのかがはっきりしない企業も多い。
Googleの姉妹カンパニーであるWaymoは自動運転車を開発しているが、そのマネタイズの方法はいくつか考えられる。例えば、同社が開発しているLiDAR(ライダー)システムを使って高精度の地理的データを収集し、それを地図データとして提供するという方法がある。(Googleマップと組み合わせることも考えられるので)極めて大きな利点になるだろう。あるいは、LiDARシステムを、自動運転車向けのセンサーとして、自動車メーカーにパッケージで提供するのではないかと見ている業界関係者もいる。
つまり、ひとくちに「自動運転車を開発している」と言っても、必ずしも文字通り「自動車」を開発するわけではなさそうな企業も多数あるということだ。それが、とりわけ自動運転車市場の予測を不透明にしている。
クルマの電動化に関しては、GM(General Motors)とLG Electronics、トヨタ自動車とパナソニックといったパートナーシップが発表されるなど、バッテリーの部分で差別化しようとする動きが目立つ。
自動車市場はとにかく動的で動きを読むのが難しいが、1つ言えることは、自動車メーカーやティア1サプライヤーなどの多くが、ビジネスモデルを変える必要に迫られているということだ。
EETJ ここ1年間で発表した、自動車向け製品について教えてください。
Phillips氏 2017年11月に、ミリ波レーダー向けのテストシステム「Vehicle Rader Test System(VRTS)」を発表した。76G〜81GHz帯を使用する車載レーダーの開発から量産まで使える。VRTSに搭載されたベクトル信号発生器およびアナライザーは、障害物を動的にシミュレートできる。
今回のNIWeekでは、データロギング用のソフトウェア「FlexLogger」を発表した。バリデーション(妥当性検証)が目的のテストをターゲットとしたソフトウェアで、最大の特長は、当社のシステム開発ソフトウェア「LabVIEW」のプログラミングが不要だという点だ。開発時間の短縮に対するプレッシャーが強まる中、エンジニアたちはLabVIEWのコードを書く時間すら惜しむほどになっている。FlexLoggerは、アドホックで使用できるようになっている。さらに、収集したデータを適切な形で迅速にドキュメント化することも可能だ。
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