「空飛ぶ車」も現れる時代、モレックスの攻め方を聞く:エレメーカーが展望する車の未来(3/3 ページ)
Molexは、各種接続システムを提供する総合電子部品メーカーだ。同社日本法人である日本モレックスで社長を務める梶純一氏に、将来の自動車の姿と同社の車載事業戦略を聞いた。
年間2桁パーセント以上の成長を目指す
EETJ 車載事業について、今後の目標はどのように設定されていますか。
梶氏 さまざまな産業に対してモレックスは製品を供給しているが、自動車関連の事業は今後さらに重要性を増すと考えている。しばらくはグローバル全体、そして日本市場においても年率2桁(パーセント)以上の成長を見込んでいる。
注目領域は、車載ネットワークやコネクティビティ、そしてセキュリティだ。自動車のセキュリティも近年注目されている技術となっているが、われわれが持つ技術アセットが貢献できるだろう。
生産設備のIoT化を進め、さらなる品質向上へ
EETJ この事業目標の達成に不可欠な、モレックスの強みとはどのような点になりますか。
梶氏 まず、製品企画から設計、製造、販売、アフターサービスまで全ての工程を一貫して自社で受け持ち、特に優れた生産設備を独自で保有していることが強みといえる。日本のOEM(自動車メーカー)は品質に関して非常に強いこだわりを持っているが、その厳しい要求にどう応えるか、良いモノをどうやって顧客に届けるかが車載事業にとって重要なカギとなる。
この点に関して、モレックスでは各工程の中で品質を追求している。生産工程や、その後の検査工程ではできる限りの自動化を導入し、人間の主観が介在することを起因とした品質のブレを排除した。また、IoTを活用して生産データの収集と分析を実施し、さらなる品質の向上やリードタイムの削減を行っており、常日ごろ改善の努力をしている。
また、Molexはグローバル全体で21カ国64カ所に工場を持っており、顧客のロケーションにあった製品を展開している。日本には1970年に進出し、民生機器からビジネスを全産業に広げてきた。このように、世界各地に根付いた開発生産体制を整えていることで、グローバルに活躍するOEMやTier1にとっても調達の助けとなるだろう。
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