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デンソー子会社が米社に出資、DFPの開発加速:自動運転の“判断”を担う
デンソーの子会社は、米国のスタートアップ企業であるThinCIに出資した。自動運転システムに向けたプロセッサの開発を加速する。
情報を瞬時に分析し、反射的に判断する
デンソーの子会社で半導体IP(Intellectual Property)の設計、開発を行うエヌエスアイテクスは2018年9月、米国のスタートアップ企業であるThinCI(シンクアイ、のように発音する)に出資したと発表した。自動運転システムに向けたプロセッサの開発を加速する。
デンソーはIC研究室を1968年に設け、車載向け高性能ECU(電子制御ユニット)やセンサーの開発に取り組んできた。2017年9月には、次世代の高性能半導体IPを設計、開発する100%子会社の「エヌエスアイテクス(NSITEXE)」を設立した。新会社は、従来のCPUやGPUとはアーキテクチャが異なるプロセッサ「データフロープロセッサ(DFP)」を開発中である。
自動運転システムではまず、センサーなどの情報を収集し周囲の状況を認識する。その上で、適切な走行経路などを決める判断処理や、その結果に基づいたハンドル操作の制御などが行われる。開発中のDFPは、適切な判断処理を得意とするプロセッサで、電力消費も少ないという。
ThinCIは、DFPにおける計算領域を最適化し、効率よく同時処理を実行できる技術を有しているという。デンソーは2016年にThinCIへ出資した。今回は子会社による追加投資となる。DFPの実用化に向けた共同開発体制をさらに強化し、開発を加速するのが狙いだ。
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