ローム、車載スピードメーター向けレンズ付きLED:隣接部への光漏れ対策が不要
ロームは、車載スピードメーターのインジケーター光源用途に向け、小型で高出力のレンズ付きLED「CSL0901/0902」シリーズを発表した。
モールド樹脂を開発、光度残存率を約80%改善
ロームは2018年10月、小型で高出力のレンズ付きLED「CSL0901/0902」シリーズとして18機種を発表した。車載スピードメーターのインジケーター光源に用いると、隣接部への光漏れを抑えることができる。
車載スピードメーターの光源は、LEDの光が隣接部へ漏れるのを防ぐため遮光壁を設けるのが一般的であった。それでも最近は、LED光源の位置が0.18mmと低くなり、基板と遮光壁の間に設けた空間から、光が漏れる可能性が出てきた。
こうした課題を解決したのが、通常光度の「CSL0901」シリーズと、ハイエンド向けに高光度化した「CSL0902」シリーズである。光源の位置を0.49mmまで高めることにより、光漏れを改善した。省スペース化も可能とした。従来のリフレクター付きLEDは、外形寸法が3.5×2.8×1.9mmであった。これに対し、レンズ付きタイプの新製品は、1.6×0.8×1.24mmとなり、体積比で8分の1という小型化を図った。
新製品は発光波長などの違いにより、18機種のLEDを用意した。全機種とも、車室内で利用できるよう、高温環境下でも光度劣化が極めて少ない構造としている。例えば、新開発のモールド樹脂を採用した青色LEDタイプは、高温通電試験時(85℃、IF=20mA、1000時間通電)の光度残存率を従来に比べて80%改善した。しかも、組み立て工程の改良などにより、中心光度は従来品に比べて約5〜7倍も高くなったという。
さらに、車載用電子部品の信頼性規格でオプトデバイスに特化した「AEC-Q102」にも対応できるよう評価を進めている。なお、サンプル価格(税別)は70円で、2018年8月より量産を始めた。
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