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組み込みAIをけん引する、ルネサスの意気込みelectronicaで「e-AI」に注力(4/4 ページ)

ルネサス エレクトロニクスは「electronica 2018」(2018年11月13〜16日、ドイツ・ミュンヘン)で、同社が提唱する、組み込み機器にAI(人工知能)を搭載する「e-AI」の訴求に力を入れた。

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「e-AI」のデモ3種類を披露

 ルネサスは、electronicaでe-AIのデモを幾つか展示した。

 まずは、手書きの数字をカメラで撮影し、その画像から正しい数字を推論するデモ。数字を付けた3台のミニカーを走らせる。ミニカーがカメラの下を通過し、数字を読み取って推論すると、ブレーキをかける信号がミニカーに送信され、ミニカーが止まるようになっている。1台目のミニカーは推論をクラウドで、2台目はGPGPUで、そして3台目はe-AI(Class-1のもの)で行う。

左=手書きの数字を上に貼り付けたミニカー。カメラの下を通過すると、数字を撮影し、その画像から推論を実行してどの数字かを当てる/右=ミニカーを走らせるレーン(クリックで拡大)
左=推論の結果。画像右端に、推論した結果の数字が出ている(全て正しい数字)。今回のデモでは、推論の実行はGPUが最も速かった/右=処理は速くても、消費電力は大きい。デモでは、使用しているチップをサーモグラフィーで示していたが、GPUは側面が赤く(=温度が高い)なっていた(ヒートシンクがあるので、全体的に真っ赤にはならない) (クリックで拡大)

 モーターの異常を検知するデモも披露した。ルネサスの既存のマイコン「RXファミリ」にe-AIを搭載したものを使用している。モーターからの電流信号をFFT(高速フーリエ変換)で周波数波形に変換し、それを使って推論。その結果をグラフで示していた。FFTは、推論の前処理として必要なもので、FFTから推論まで全てマイコンでリアルタイムに行える。

左=デモで使用したシステムの外観。使用しているマイコンは「RX」ファミリ/右=モーターをわざとオーバーロードさせ、検知できる様子を示している。画像右端のグラフで、赤い線が「Failure」の方向に跳ね上がっているのが分かる(クリックで拡大)

 3つ目のデモでは、発表したばかりのRZ/A2Mを使い、メーターの針をリアルタイムで認識し、異常なども検知できるシステムを紹介した。カメラで2つの電流メーターを読み取り、読み取った画像を別のディスプレイに表示する。そのディスプレイ上で針の動きをリアルタイムで追いかけ、針の位置から電流値を推論するというもの。

このように、カメラで2つの電流メーターを撮影し続けている
撮影した画像を別のディスプレイに表示。針の動きを追いかけ、針の位置から電流値をリアルタイムで推論している。電流値が高い時には、針を囲んでいる枠の色を赤にしたり、低い時には緑にしたりといったことも可能だ


このデモでマイコン(DRP)が行っているAI向けの前処理。画像のリサイズやフィルタリング、ニューラルネットワーク(NN)に使用できる画像への最適化といったことが行われている。ちなみに、NNもDRPに搭載されている(クリックで拡大)

 このようにカメラを使うことで、人間がメーターを監視するのと同じようなシステムを構築できるようになる。なお、このデモの消費電力はシステム全体で約1Wだという。ボード上のチップに触れても、全く熱くなかった。

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