2019年も2割増収を狙う汎用半導体専業Nexperiaの戦略:Frans Scheper CEOインタビュー(3/3 ページ)
ディスクリート(個別半導体)、汎用ロジックなど、いわゆる汎用半導体製品を専門とするNexperia(ネクスペリア)は2019年、売上規模を20%成長させる方針だ。業績好調の理由や今後の成長に向けた経営戦略、さらには日本での事業展開について、Nexperia CEOを務めるFrans Scheper氏と、Nexperia日本支社長を務める国吉和哉氏にインタビューした。
GaNパワーデバイスに参入へ
EETJ 新製品開発に向けた投資についてはいかがですか。
Scheper氏 研究開発投資についても積極的に行っている。
国吉氏 この1年間でも約800品種の新製品を投入した。ダイオード、トランジスタ、汎用ロジック、パワーMOSFET、ESD、いずれでも新製品を投入している。
パッケージについても開発を強化しており、例えば、従来のD2PAK相当のパッケージが必要になったパワーを、8×8×1.65mmサイズで扱える「LFPAK88」をこのほど開発し、デザインインが好調に進んでいる。2019年4月から量産を開始できる見込みであり、2019年に期待できる製品の一つになっている。
EETJ ディスクリート、ESD、汎用ロジック、MOSFETという製品領域以外に参入するというお考えはありますか?
Scheper氏 Nexperiaとして、マイコンなどの製品分野に参入するということは一切考えていない。あくまで、ディスクリート、汎用ロジックの専業メーカーとして成長していく。
EETJ IGBTなど、よりハイパワーのディスクリート領域への参入については?
Scheper氏 ハイパワー領域については、狙っていきたいと考えている。ただし、IGBTは多くのプレイヤーが存在する市場であり、そこに参入するのは得策ではない。われわれとしては、SiC(炭化ケイ素)やGaN(窒化ガリウム)といった化合物半導体材料を用いた次世代パワーデバイスで、ハイパワー領域に参入したいと考え、研究開発を進めている。
EETJ SiC、GaN、双方で開発を進めているのですか。
Scheper氏 両方で開発を行っている。GaNデバイスについては、自動車で必要される1200V耐圧クラスを狙っており、まもなく、何らかの発表が行えるのではないだろうか。個人的には、2019年に製品化したいという希望を持っている。
2019年も「20%近い売上成長を目指せる」
EETJ IPOの予定、M&Aに対するお考えをお聞かせください。

【Frans Scheper氏】IBM、Philipsでさまざまなポジションを歴任し、NXP Semiconductorsでは上級副社長兼スタンダード・プロダクト担当ゼネラルマネージャーを8年間務めた。
Scheper氏 IPOについては、コメントできることはない。ただ、言えることは、われわれは自社の資金で、設備投資を行ってきたし、今後も積極的な設備投資を継続できる資金があるということだけだ。
M&Aについては、SiCやGaNなどの技術を持つ企業などには興味を持っているが、同業との合併などの必要性はないと思っている。
EETJ 先ほど、2019年も2017〜2018年と同じく20%程度の売上成長を目指すとおっしゃいましたが、2019年の市況はどのように見ておられますか?
Scheper氏 経済情勢を予測することは非常に難しいが、われわれがターゲットにしている市場の規模は2019年、前年比4〜5%程度、成長すると見ている。市場がその程度、成長すれば、われわれは20%近い売上成長を目指せる。よほど大きな経済危機が起こらない限り、成長を持続できると考えている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
積極増産投資でシェア向上狙うNexperia
ディスクリート(個別半導体)、汎用ロジック専業メーカーのNexperia(ネクスペリア)は2017年9月5日、都内で事業戦略説明会を開催し、積極的な増産投資を行いながら車載市場を中心にビジネス拡大を図る方針を示した。NXP、汎用ロジック/ディスクリート事業売却
NXP Semiconductorsは2016年6月14日、中国の投資家コンソーシアムに、スタンダード・プロダクト事業部門を約27億5000万米ドルで売却することで合意したと発表した。“後発・ローム”がパワーデバイスで成長できる理由
ロームはパワーMOSFETやIGBTなどのパワーデバイス分野で売り上げ規模を拡大させている。パワーデバイス市場では、後発のローム。なぜ、後発ながら、自動車や産業機器などの領域でビジネスを獲得できているのか。ローム役員に聞いた。世界半導体市場規模、2019年は2.6%成長へ
WSTS(World Semiconductor Trade Statistics:世界半導体市場統計)は2018年11月27日、2018年秋季半導体市場予測を発表した。同予測によると、2018年の世界半導体市場規模は前年から15.9%成長し4779億3600万米ドルになり、2019年には4901億4200万米ドル(2018年比2.6%増)に成長するという。メモリ市場予測、ボトムは2019年中盤か
今回は、これからのメモリ市況を占う。サーバ/データセンター、PC/スマホ、それぞれのメモリ需要のこれまでを振り返りながら、これからどうメモリ市場が動いていくか予想する。「e-AI」で破壊的なイノベーションを、ルネサス 横田氏
ドイツ・ミュンヘンで開催中の「electronica 2018」に出展しているルネサス エレクトロニクスの展示内容は、車載製品ではなく、産業機器向けの製品が中心となっている。同社執行役員常務兼インダストリアルソリューション事業本部長を務める横田善和氏に、その狙いなどを聞いた。