FPGAでエッジAIを高速に、NECが専用ツールをデモ:C言語でできる
NECは「第8回 IoT/M2M展」(2019年4月10〜12日、東京ビッグサイト)で、FPGAを使った高速画像判定や、顔が写っていなくても人物を照合できる技術、推論を高速化する「NEC AI Accelerator」などを展示した。
NECは「第8回 IoT/M2M展」(2019年4月10〜12日、東京ビッグサイト)で、FPGAを使った高速画像判定や、顔が写っていなくても人物を照合できる技術、推論を高速化する「NEC AI Accelerator」などを展示した。
FPGAを用いた画像判定のデモは、工場の製造ラインなどに組み込んで使う、エッジAI(人工知能)の一例として展示した。具体的には、製造ラインで良品、不良品を高速に画像判定する。CPUだと1秒当たり1枚程度の画像しか処理できないが、デモでは1秒間に5枚近く処理していた。NECの説明担当員によれば、シミュレーションではCPUに比べて15〜17倍の速度で推論できているという。
NECは、C言語で書かれたアルゴリズム記述から、ASICやFPGA向けのRTL(レジスタ転送レベル)を生成できる高位合成ツールおよび検証ツール「CyberWorkBench」を提供している。今回、FPGAに実装した画像判定のアルゴリズムも、CyberWorkBenchを使って生成したもの。
「工場では、製造ラインの画像をクラウドにアップしたくないという要望がある。そのため、工場内で完結するAI(人工知能)技術が求められている。今回は、そうしたニーズに応え得る技術として、エッジでも、より簡単に推論を高速化できる技術を提示した」(NECの説明担当員)
顔だけに頼らない人物照合技術
人物照合技術は、監視カメラなどの映像に顔が写っていなくても、服装や体形から人物を照合するもの。顔と体形、服装はあらかじめひも付けてデータベースに登録しておく必要はあるが、デモではほぼ100%の精度で人物を照合していた。人混みや物陰がある場合でも、複数のカメラの映像から同一人物を見つけ出すことが可能になっている。現時点で、データベースには100〜150人を登録しておけるという。迷子を捜したり、特定の人物を追跡したりする用途を想定している。
「NeoFace」を小型のカードに
NEC AI Acceleratorは、参考出展の技術。NECの顔認証技術である「NeoFace」をさまざまなエッジデバイスに組み込み、より簡単に使用できることを狙ったもの。ブースでは、ArmコアプロセッサとIntelのFPGA「Cyclone V」、カメラなどを接続するための外部インタフェースを搭載した「NEC AI Acceleratorカード」を参考展示していた。例えば、このカードをショーケースに組み込み、別途設置したカメラでショーケースの画像を撮影することで、自動的に検品処理を行うといった用途が考えられるという。その他、ロボットや、入館、入室時のセキュリティなどにも応用できると、NECの説明担当員は述べた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 省電力ボードで組み込みビジョンを実現
congatecの日本法人コンガテック ジャパンは、「第8回 IoT/M2M展」(2019年4月10〜12日、東京ビッグサイト)で、産業用組み込みコンピュータモジュールの最新製品などを展示した。 - NEC、顔画像のみに頼らない人物照合技術を開発
NECは、カメラに映った服装や体型からでも人物を照合できる技術を開発した。多くの人物や遮る物があって、照合したい人物の顔や体の一部が確認できない場所でも、全身の外観画像を用いて同一人物かどうかを判定することが可能となる。 - CPUのみで高速学習、組み込みAIを低コストで実現
ディープインサイトは、「第8回IoT/M2M展」で、IntelのCPUのみで学習を行うデモを展示した。ディープインサイトが開発しているディープラーニング用フレームワーク「KAIBER(カイバー)」の学習エンジンをCPU向けに最適化し、GPUを使わない環境で高速に学習できるようにしている。 - Intel、“組み込みAIチップ”のPC搭載を狙う
Intelは、CPUの他に、Movidiusが手掛けてきたVPU(Vision Processing Unit)のような推論チップを、PCに搭載することを目指しているようだ。 - AIはFPGAのスイートスポット、Xilinxがエッジ推論をデモ
Xilinxは、組み込み技術の国際展示会「embedded world 2019」(2019年2月26〜28日、ドイツ・ニュルンベルク)で、自動車や監視カメラなどでの推論、いわゆるエッジデバイスでの推論をイメージしたデモを展示した。 - インテル、第2世代の「Xeon SP」提供を開始
インテルは2019年4月9日、インテリジェント・エッジからクラウド、人工知能(AI)、第5世代移動通信(5G)に広がる高いコンピューティング能力を必要とする処理に最適化された「第2世代インテル Xeon スケーラブル・プロセッサ」や、「インテル Optane DC パーシステント・メモリ」などの新製品の提供を同日から開始したと、発表した。