オンセミ、クラウド利用の開発基盤を国内初公開:TECHNO-FRONTIER 2019
オン・セミコンダクターは、「TECHNO-FRONTIER 2019(テクノフロンティア)」で、デバイスの評価時間を短縮できるクラウドベースの開発プラットフォーム「Strata Developer Studio」のデモを、日本で初公開した。
電源やワイヤレスIoTのソリューションも紹介
オン・セミコンダクターは、「TECHNO-FRONTIER 2019(テクノフロンティア)」(2019年4月17〜19日、千葉・幕張メッセ)で、デバイスの評価期間を短縮できるクラウドベースの開発プラットフォーム「Strata Developer Studio」や、産業機器向けの「パワーソリューション」「ワイヤレスIoT(モノのインターネット)ソリューション」を紹介した。
Strata(ストラータ)プラットフォームは、オン・セミコンダクターが提供するStrata対応の評価ボードを用いて、システム開発や検証を行うときに有用なツールである。使用する評価ボードをPCのUSBポートに接続すれば、プラグアンドプレイでボード情報を読み取るため、自動でセットアップが完了する。設計に必要な製品情報やアプリケーションノート、レファレンスデザインなどもクラウド側で一元化されており、設計者は自身のPCから簡単に入手できる環境を提供する。
ブースでは、LED電源ソリューション評価ボードをPCに接続。同社が提供するLEDドライバICを用いて、調光や調色制御を評価するデモを行った。異なる駆動方式で調光機能などの評価を行うだけでなく、LEDドライバICのデータシートを始め、設計者が必要とする回路図など最新のドキュメント類も簡単に探し出せることから、設計時の煩わしさを大幅に軽減することができるという。
現在、Strataに対応する評価ボードはLED電源ソリューションの他、「車載用充電システム評価ボード」「GUI制御付き多機能ロジックゲート評価ボード」「USB AC-DC 4ポート200W電源評価ボード」の4種類を用意している。2019年中には注力する製品を中心として約100品種まで増やす計画。将来は全てStrata対応の評価ボードとなる予定だ。
USB AC-DC 4ポート200W電源評価ボードもStrataに対応している。PCや周辺機器、民生機器などに向けた製品で、USB-PDでさまざまな機器への電源供給を可能とする。
ブースでは、PCやメモリカードへの電源供給を想定したデモ展示を行った。USB端子で接続されると電源供給先との調整を行い、PCに対しては20V、メモリカードに対しては5Vを供給する。バッテリーに充電する際は、電圧や電力、温度などをモニターしながら、充電制御の状況を評価することができる。
バッテリーなしでも温度監視が可能に
ワイヤレスIoTソリューションとして、同社が新たに提案したのが「センサー開発キット」や「ソーラーマルチセンサー」である。既に、Bluetooth 5対応無線チップとアンテナ部をワンパッケージにした無線モジュール「RSL10 SiP」を供給している。エナジーハーベストスイッチで発電する電力を用いて駆動させるBLE(Bluetooth Low Energy)ソリューションである。
センサー開発キットは、電力消費が極めて小さいRSL10 SiPと、さまざまなスマートセンサーを組み合わせたソリューション。アンテナ設計が必要なく、「技適」と呼ばれる技術適合の認定も受けている。センサーは、照度センサーや3軸の加速度センサー、ジャイロスコープ、磁気センサー、温湿度/気圧/ガスセンサー、マイクなどを用意した。
ブースでは、加速度センサーが異常な振動を検知して、そのデータを近くにあるスマートフォンにBLE無線で送信。スマートフォンはこのデータを公衆回線でクラウドのサーバに送る。処理したデータを「見える化」して、端末に表示させるデモを行った。データの内容によっては「緊急事態発生」のように音声で異常を知らせることも可能だ。
応用例として、工事現場などにおける作業者の健康管理や作業環境の監視などを挙げる。ヘルメットなどに小型センサーを装着することで、現場の環境情報をリアルタイムに収集することができる。このデータをクラウド側に送信することで、作業者の健康管理などを適切に行うことが可能となる。
ソーラーマルチセンサーは、トランシーバーと太陽エネルギー変換器を備えている。太陽電池で動作するため、コイン電池などを搭載しなくても温度監視などを長期間、継続的に行うことができる。
ブースでは、温度センサーで周囲の温度を測定し、そのデータを30〜60秒間隔で発信。BLEスキャナーと呼ばれるアプリケーションを用い、スマートフォンでそのデータを受信して、ディスプレイに表示させるデモを行った。
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