パートナー連携で車載システム開発を加速するルネサス:買収のシナジーも強調(4/4 ページ)
ルネサス エレクトロニクス(以下、ルネサス)は2019年10月16日、「R-Carコンソーシアム 2019」の開催にあわせ、報道関係者向けに車載事業戦略などの説明会を実施。新たなパートナープログラムの開始など、パートナーとの連携を重視した展開を進めることを強調した。
開発を加速するコラボレーションの実例を紹介
この日開催されたR-Carコンソーシアムフォーラムの会場では、R-Carコンソーシアムのパートナー連携を生かしたさまざまな実例が紹介されていた。
コネクテッドカー向けソリューションとしてはR-Car V3Hと米StradvisionのAI技術を組み合わせたフロントカメラのデモを実演。事故などのイベントをトリガーに、フロントカメラで取得したデータを圧縮してクラウドに上げるもので、ECU側でデータを10〜20分の1に圧縮することができるという。
また、統合コックピットECU向けレファレンスソリューションも展示。これは、コックピットECUに求められるハードウェアとソフトウェアをまとめたレファレンスキットで、「車両にこのまま載せて評価ができるところまで仕上げている」としている。実際に展示されていたデモ機も、3週間で開発ができたという。米Green Hills SoftwareのリアルタイムOS「INTEGLITY」と、AGL(Automotive Grade Linux)をハイパーバイザーによって1つのECUで動作させている。
Intersil買収によるシナジーとして紹介していたのが、バッテリー向けのソリューションだ。ルネサスは、最大14セルの電圧を±2mVの精度で測定できるバッテリーマネジメントICとRH850を組み合わせ、70セルの管理を可能にしたBMSのレファレンスキットや、R-CarとPMICの組み合わせで機能安全をサポートするソリューションなどを提供しているという。
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