ママさんたちが奮闘! 小学生のための“手作り”ラズパイ教室:MIT卒ママ&IEEEフェローが全面支援(2/2 ページ)
「今度はScratchGPIOで7セグメントLEDを光らせましょう」「は〜い!」――2019年9月、浜田山小学校(東京都杉並区) の理科室では放課後、児童と”お母さん講師”との、こんなやりとりが響いていた。開催されていたのは、小型コンピュータ「Raspberry Pi」を使ったプログラミング教室「パイ・テック・クラブ」だ。MIT(マサチューセッツ工科大学)出身の保護者と”ママ友”たちが4年前に創設した後、IEEEフェローの専門家による支援のもと、児童の母親たちが自ら講師となって活動しているという。
Raspberry Pi組み立てから始まり、最後は「Python」学習まで
講座は、まず4月〜7月、「Raspberry Pi組み立て、Scratchプログラミングの基本、座標の基本」から始まり、「すいぞくかんゲーム+チャレンジ(乱数)」「タイピング練習」や「算数ゲーム(変数と乱数、条件分岐)、効果音の基本」「もぐらたたきゲーム(変数、乱数、座標の応用)」「シューティングゲーム(制御ブロック応用とステージ展開)」など、Raspberry Piを使いながらITの基礎的な要素の学習や「自由作品作り」を行う。
9月〜12月には、「電気の基本、ブレッドボード、LED実験、7セグメントLED、いろいろなスイッチ」「GPIOの基本、Raspberry Piから信号を送る、モーター」「超音波距離センサーとプログラミング」「電磁石とリレースイッチ」など、電気や各電子機器について学んだうえで、「ロボットカーの組み立てとプログラミング」に取り組む。
さらに最後には、Pythonを使用したプログラミングにも触れる機会を2回に分けて、用意しているという。井上氏は、「Scratchのプログラムは、Scratchのままで完結してしまう。さらに一歩進んで『自分で文字を打ってプログラミングをする』という世界も見せることで、プログラミング言語の習得への道が開ければと思い、簡単ですがPythonの体験スケジュールに加えました」と説明。「ブロックでやっていたことを翻訳して自分で打ち込むという考え方でできますし、座標の知識も生かせる。この前提があるので実際に講座の中でPythonを使えるようになる子もいます」と、語っていた。
「新たな才能の発掘」に貢献
この日の講座は、「GPIOの基本、Raspberry Piから信号を送る」というテーマで、Raspberry PiのGPIOにリボンケーブルをつなげTコネクターを介してブレッドボードに接続。ブレッドボード上に配置したLEDや7セグメントLEDと抵抗器をワイヤでつなぎ、ScratchGPIOによるプログラミングで点灯させるという内容だった。
講座は前半に講師役が、GPIOなどについての基礎知識や接続の手順などを説明し、後半から実際の組み立て、プログラミングに入るという流れだ。
講師役の「7セグメントLEDで『2』と点灯させるにはどのピンをONにすればいい?」との質問に、「24と22と……」と即答するなど、児童らは十分に理解を示しながら、「ねえまだ〜?」「早くやりたい!」とやる気に満ちあふれた様子。実際の作業に入ると、ブレッドボードへの接続やScratchGPIOでのプログラミングを次々とこなしていった。中には乱数を用いてLEDをランダムで点灯させるなど、これまで学んだ知識を応用して自分なりの制御を行う児童もいた。
この講座は4月〜12月の計21回で終了。基本的に毎年この講座項目を繰り返している。「続きはないのか?」という要望も多いというが、「次の子供たちの準備が必要なうえ、続きとなるとコンテンツを一から作らないといけなくなるので、難しい」という。
それでも、講座に参加している児童はキーボードやマウスの操作やタイピングに強くなることで、「学校のプログラミング授業でも周囲を助けることができ、自信につながっている」ほか、Raspberry PiをそのままPCとして使用してYouTubeの試聴を楽しむ子供もいるなど、「コンピュータが得意になり、好きになってくれる」のだという。
さらに、受講中や受講後にも家庭で自らプログラミングを続けたりする児童も多いといい、井上氏は、「『こんなことができた』と喜んで報告してくれたり、保護者から『こんなことを見せてくれた』というメールがあったりするので、そういう子の発掘にすごく良かったと思います」と語っていた。
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