「2019年度版 プリント配線板技術ロードマップ」の概要:福田昭のデバイス通信(257) 2019年度版実装技術ロードマップ(65)(2/2 ページ)
今回は、「2019年度版 実装技術ロードマップ」の第5章「プリント配線板」の原典である「2019年度版 プリント配線板技術ロードマップ」の概要を紹介する。
プリント配線板の種類と技術
ここからは第5章の原典である「2019年度版 プリント配線板技術ロードマップ」の概要を簡単に紹介していこう。同ロードマップは第1章から第9章までで構成される。第1章は総論で、プリント配線板(PWB)の定義を説明する。第2章では、プリント配線板が使われる製品の市場動向を解説している。2019年度版では5G(第5世代)移動通信に関する記述を追加した。
第3章はリジッド配線板、第4章はフレキシブル配線板を説明している。第3章では2019年度版から高放熱配線板に関する記述を追加した。
第5章は半導体パッケージ用サブストレートの技術動向を解説する。2019年度版では超薄膜工法に関する記述を追加した。
第6章は、機能集積配線板の技術動向を説明している。第7章は表面処理や信頼性などのプリント配線板に共通の事項を述べる。第8章は技術的な課題を解説する。
第9章は、プリント配線板に関連するトピックスを報告する。システム集積化、ストレッチャブル・エレクトロニクス、テキスタイル・エレクトロニクス、コンフォーマブル・エレクトロニクスなどを扱う。
高い付加価値を備えたプリント配線板の開発が必須に
「2019年度版 プリント配線板技術ロードマップ」が伝えるメッセージは以下のようなものだ。プリント配線板の主な役割は、電気信号の伝送と電子部品の搭載である。電気的特性の改善と消費電力の低減、機能の集積化を進めており、これからも進めていく。
このために過去から現在まで、配線とビアの微細化が継続して実行されてきた。しかし配線幅/間隔で10μm/10μm、ビア径30μmに達したところで経済的には微細化が難しくなりつつある。
そこで従来とは異なる方向、すなわち新しい機能を集積することで、プリント配線板は付加価値を見いださなければならない。機能集積の方向は2つある。1つは、配線板に部品を内蔵させることで性能を向上させる。もう1つは伸縮が容易であったり、製品の構造と一体化したり、織物や布地などに埋め込んだりすることで、新しい価値を創造する方向である。
リジッド配線板やフレキシブル配線板などの従来技術による配線板は、日本国内では市場の成長が期待しづらい。さらには海外企業との価格競争でも厳しい環境にある。高い付加価値を備えたプリント配線板の開発と市場の創造が必須となりつつある。
(次回に続く)
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