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小型化と薄型化、多機能化を後押しする部品内蔵基板福田昭のデバイス通信(261) 2019年度版実装技術ロードマップ(69)(1/2 ページ)

今回は、新世代のプリント配線板を代表する「機能集積基板」の概要を解説する。半導体チップや受動部品などを内蔵することで複数の機能を持たせた基板である。

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プリント配線板が半導体チップや受動部品などを内蔵

 電子情報技術産業協会(JEITA)が発行した「2019年度版 実装技術ロードマップ」に関する完成報告会(2019年6月4日に東京で開催)と同ロードマップの概要をシリーズでご報告している。今回はその第69回である。

 本シリーズの第3回から第22回までは第2章「注目される市場と電子機器群」の概要、第23回から第30回までは第3章「電子デバイスパッケージ」の概要、第31回から第63回までは第4章「電子部品」の概要を説明してきた。


2019年6月4日に東京で開催された「2019年度版 実装技術ロードマップ」完成報告会のプログラム。第64回から、第5章「プリント配線板」(プログラムの9番)の概要を紹介している。出典:JEITA(クリックで拡大)

 第64回からは、第5章「プリント配線板」の概要を紹介している。第5章は、第1節「プリント配線板定義」、第2節「機能集積基板」、第3節「プリント配線板技術ロードマップ」の3つの節で構成される。始めに「第1節」で、プリント配線板とはどのようなものであるかを説明する。次に「第2節」で、プリント配線板市場の行方を大きく左右するとみられる、「機能集積基板」の製造技術を解説する。最後に「第3節」で2018年〜2028年までの技術ロードマップを紹介する。


第5章「プリント配線板」と第2節「機能集積基板」の目次。ロードマップ本体から筆者が書き出したもの。下線部は今回で扱う部分(クリックで拡大)

 前回は、プリント配線板の種類による付加価値(集積度)と技術的難易度の違いをXYグラフにマッピングするとともに、プリント配線板の仕様を大きく左右する絶縁基材について簡単にご説明した。今回は、新世代のプリント配線板を代表する「機能集積基板」の概要を解説する。

 「機能集積基板」とは、半導体チップや受動部品などを内蔵することで複数の機能を持たせた基板(配線板)を指す。「部品内蔵基板」とも呼ぶ。大別すると、従来の伝統的なプリント配線板に部品を内蔵させた基板と、シリコンやガラスなどのウエハー(極薄の円板)に微細な再配線層を形成して部品を内蔵させた基板に分けられる。

モバイル機器が積極的に採用

 部品内蔵基板の主な用途はモバイル機器である。具体的にはカメラモジュール、DC-DCコンバーター、パワーマネジメントユニットなどが部品内蔵基板を採用している。

 従来の伝統的なプリント配線板に部品を内蔵させる工程は以下のようになる。まずプリント配線板の内層に部品搭載用のパッドを形成する。次に、パッドに半導体チップや受動部品などを搭載する。それから部品に相当する大きさに穴開けしたプリプレグを積み重ねてラミネートし、内蔵部品を固定する。それからレーザードリルで基板に孔を開け、銅(Cu)を電気メッキして配線パターンを形成する。


部品内蔵基板の構造例(株式会社メイコー)。いずれもチップ部品を内蔵したもの。左上は両面配線板の例。左下は4層ビルドアップ基板(2層コア、2層ビルドアップ)の例。右上は全層ビルドアップ構造の4層基板の例。厚みが両面配線板と変わらない。右下は全層ビルドアップ構造の8層基板の例。出典:JEITAおよびJPCA(クリックで拡大)

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