認定プログラムをまとめた「Wi-Fi Vantage」、Wi-Fi 6に対応:最新版をリリース
Wi-Fi Allianceは2020年11月19日、オンライン記者説明会を開催し「Wi-Fi Vantage」の最新版について説明した。Wi-Fi Vantageは、複数の認定プログラムをまとめたもの。最新のWi-Fi規格をはじめ、セキュリティや、シームレスなネットワーク認証、ネットワーク負荷のバランスを最適化する機能など、より優れたWi-Fiユーザー体験を提供するために必要な認定プログラムをパッケージ化している。
Wi-Fi Allianceは2020年11月19日、オンライン記者説明会を開催し「Wi-Fi Vantage」の最新版について説明した。
Wi-Fi Vantageは、複数の認定プログラムをまとめたもの。最新のWi-Fi規格をはじめ、セキュリティや、シームレスなネットワーク認証、ネットワーク負荷のバランスを最適化する機能など、より優れたWi-Fiユーザー体験を提供するために必要な認定プログラムをパッケージ化している。
最新のWi-Fi Vantageは、前世代の2018年版Wi-Fi Vantageに比べ、以下のようなアップデートがある。まずはWi-Fi規格がWi-Fi 5から最新のWi-Fi 6(IEEE 802.11ax)となった。Wi-Fi 6は、最大通信速度9.6Gビット/秒(bps)、遅延が1ミリ秒未満と、通信速度や遅延、電力効率などがこれまでのWi-Fiよりもさらに向上している。
Wi-Fi Vantageの暗号化方式は「WPA2」から「WPA3」になり暗号化の強度が上がった。さらに、2018年に発表された「Wi-Fi Enhanced Open」も追加されている。Wi-Fi Enhanced Openは、フリーWi-Fiのような非認証型ネットワークにおいて、データのプライバシー保護能力を高めるセキュリティ規格である。
この他、Wi-Fiスポットで効率的かつ安全にネットワークに接続する「Wi-Fi Passpoint」、ネットワーク環境を動的にモニタリングし、環境の変化に応じてネットワークの負荷を最適化する「Wi-Fi Agile Multiband」、Wi-Fiローミングをより効率的に行う「Wi-Fi Optimized Connectivity」も、2018年版同様に含まれている。
Wi-Fi Allianceでマーケティング担当シニアバイスプレジデントを務めるKevin Robinson氏は、「Wi-Fi Vantageは常に進化している。次々と新しいバージョンをリリースすることで、Wi-Fiに対する需要に応えている」と語る。
なお、一度Wi-Fi Vantageの認定を取得すれば、新しいWi-Fi Vantageのリリースがある度に認定を取得する必要はない。
機器メーカーがWi-Fi 6に対応したい場合、もちろん、Wi-Fi VantageではなくWi-Fi 6単独で認定を取得することも可能だ。だが、Robinson氏は「機器メーカーは、Wi-Fiで優れたユーザー体験を提供するためにどのような機能が必要なのかを必ずしも全て把握しているわけではない。Wi-Fiの機能を全て理解していても、どの機能がどのような場合に役立つのかを判断するのが難しい場合もあるだろう。Wi-Fi Vantageはそうした課題を解決するために登場した。機器メーカーにとって、Wi-Fi Vantageの認定を取得することは、開発した機器が『ユーザーのWi-Fiに対するニーズに応えている』ということを、分かりやすい形で示す手段の一つだ」と、Wi-Fi Vantageの利点を説明した。
Wi-Fi 6の登場もあり、Wi-Fi市場は今後も大きく成長するとみられている。Cisco Annual Internet Report(2020年2月)によれば、Wi-Fi市場は、2018年には接続デバイス数が183億台、Wi-Fiホットスポットが1.69億カ所だったが、2023年には接続デバイス数が293億台、Wi-Fiホットスポットが6.28億カ所に上ると予想されている。さらに、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響でリモートワークが増加していることもあり、自宅でもオフィスと同じようなWi-Fi環境を求める声も大きくなっている。Robinson氏は、「高帯域幅や低レイテンシを必要とするユーザーアプリケーションが急増している」と述べ、これらの需要に応えるべく、Wi-Fiのあらゆる認定プログラムの改善を今後も進めるとした。
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