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多層配線の性能を向上させるエアギャップと2次元材料:福田昭のデバイス通信(290) Intelが語るオンチップの多層配線技術(11)(2/2 ページ)
今回は、多層配線の容量を下げる要素技術「エアギャップ」と、多層配線の抵抗を下げる要素技術「2次元(2D)材料」について解説する。
低抵抗の2次元材料を配線のキャップ層に導入
多層配線の主役である銅配線は、微細化とともに電気抵抗が増加する。特に配線ピッチで40nm以降では、微細化とともに電気抵抗が急激に増える。ここで電気抵抗の増大を抑える手法の1つが、低抵抗の材料によって配線の上面をカバーすることだ。このカバー層は「キャップ層(Cap Layer)」と呼ばれる。
電気抵抗の低減を目的としたキャップ層の有力候補は、2次元材料(2D Materials)と呼ばれる低抵抗導電材料である。その代表はグラフェンと遷移金属ダイカルコゲナイド(TMD:Transition Metal Dichalcogenides)であり、いずれも理論的な電気抵抗は極めて低い。
講演では、45nmピッチの銅配線にグラフェンのキャップ層を設けることで、配線抵抗が約15%減少することを示していた。なお、量産中の高性能プロセッサに採用しているかどうかは不明だ。グラフェンは成膜方法に課題があるので、研究段階の要素技術である可能性が高い。
グラフェンを銅配線のキャップ層に導入。左は配線構造の模式図。中央は配線のキャップ層付近の断面を電子顕微鏡で観察した画像。右はグラフェンの有無による抵抗値の変化。グラフェンのキャップ層によって抵抗を約15%減らせた。出典:Intel(クリックで拡大)
(次回に続く)
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