自動車部品30品目、2030年は約41兆円規模へ:富士キメラ総研が市場調査
富士キメラ総研は、自動車部品30品目の世界市場を調査し、2030年までの市場予測を発表した。市場規模は2020年見込みの27兆6820億円に対し、2030年は40兆9828億円と予測した。
サーマルマネジメント関連部品に注目
富士キメラ総研は2021年1月、自動車部品30品目の世界市場を調査し、2030年までの市場予測を発表した。市場規模は2020年見込みの27兆6820億円に対し、2030年は40兆9828億円と予測した。
今回は、パワートレイン系の14品目、駆動/足回り系の4品目、内装系の7品目、外装系の5品目を調査対象とした。調査期間は2020年6〜9月。
新型コロナウイルス感染症の影響により、2020年は自動車の生産台数が大幅に減少。自動車部品の世界市場も、2019年に比べ21.3%減の見込みとなった。2020年下半期には自動車工場が再稼働しており、2021年以降は部品需要も回復に向かう見通しである。ただ、2019年の市場規模まで回復するのは、2024年頃になると予測した。
こうした中、世界市場は環境規制の強化や自動運転技術の高度化が進展している。このため、自動車部品はさらなる軽量化、高電圧化などへの対応が求められている。
例えば、外装系市場は、ボディ素材が従来の「鋼板」から、「ホットスタンプ材」や「アルミニウム合金」に置き換わるとみている。タイヤも中国や韓国製の「低価格品」が増える中で、新素材の「高機能タイヤ」なども市場投入が進む。内装系市場は、車室内の快適性向上に向けて、高機能なシートシステムや空調システムの採用が増える見通しである。
駆動/足回り系市場は、電動化の進展で2022年頃よりインホイールモーターの需要が拡大し、2030年には4485億円の市場規模になると予測した。ホイールに駆動用電気モーターを内蔵することで、車輪ごとに独立した制御が可能となる。
パワートレイン系市場は、ターボチャージャーがけん引する。今後、電動化が進むと電動ウォーターポンプや排熱回収器といった、「サーマルマネジメント関連」の部品需要が大幅に拡大する。発熱や冷却水を効率よく制御し、エンジン性能や燃費、航続距離やバッテリー寿命などを向上させるのが目的である。
同社は今後の注目部品として、サーマルマネジメント関連の3製品を挙げた。「エンジン冷却モジュール」と「電動ウォーターポンプ」および、「排熱回収器」である。
エンジン冷却モジュールは、ラジエーターや電動ファン、コンデンサーが一体となった「熱交換器」が対象で、ラジエーター単体製品は含まない。市場は2020年見込みの6571億円に対し、2030年は8686億円と予測した。
電動ウォーターポンプは、電子制御によって冷却水を循環させる部品で、エンジン冷却用とインバーター/バッテリー冷却用を調査対象とした。エンジン冷却用市場は2020年見込みの170億円に対し、2030年は1492億円規模となる。インバーター/バッテリー冷却用市場は、同じく254億円から1599億円に拡大すると予測した。
排熱回収器は、排ガスから熱を回収しエンジン冷却水を温める部品である。排熱回収器を利用するとエンジンの暖機時間を短縮でき、寒冷時の燃費や暖房効率を向上できるという。このため、寒冷地仕様のHV(ハイブリッド車)やPHV(プラグインハイブリッド車)で搭載が進む。市場規模は2020年見込みの74億円に対し、2030年は624億円と予測した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 半導体デバイス16品目、2025年に43兆円規模へ
富士キメラ総研は、半導体デバイス16品目の市場について調査した。2020年見込みの26兆678億円に対し、2025年は43兆470億円と予測した。リモートワークやAI(人工知能)の普及などにより、半導体デバイス需要は引き続き拡大する。 - 自動運転レベル2以上車両、2045年までに1億台超え
富士キメラ総研は、自動運転車の世界市場を調査した。2045年には、自動運転レベル2以上に対応した車両の生産台数が1億3552万台に達する見通しだ。 - 車載ECUの世界市場、2030年に17兆1822億円へ
富士キメラ総研によると、xEVの普及や自動運転車の増加などにより、2030年の車載ECU市場は17兆1822億円規模になると予測した。 - コグニティブ関連技術市場、2025年に1080億円へ
富士キメラ総研は、画像認識や音声・感情・音認識といったコグニティブ関連技術に関する市場調査を行った。2025年の国内市場規模は、2018年に比べ画像認識関連技術が3.1倍に、音声・感情・音認識関連技術が2.5倍に拡大すると予測した。 - 車載電装システム市場、2030年に約49兆円規模へ
富士キメラ総研は、車載電装システムの世界市場を調査した。これによると、2019年見込みの24兆8945億円に対し、2030年は48兆9120億円規模に拡大する。 - 5G対応基地局市場、2025年は11兆3530億円規模へ
富士キメラ総研は、第5世代移動通信(5G)関連の世界市場を調査し、その結果を発表した。2025年の5G対応基地局市場は11兆3530億円と予測、2018年に比べ3倍に拡大する見通しだ。