Nexperia、GaNパワー半導体でUAESと協力関係結ぶ:EV用電源システムにフォーカス
Nexperiaは、聯合汽車電子有限公司(UAES)と、窒化ガリウム(GaN)パワー半導体に関して包括的協力関係を結んだ。GaN技術を用いた電気自動車(EV)用電源システム向けのソリューションを共同で開発していく。
投資拡大とラボの共同開設を計画
Nexperia(ネクスペリア)は2021年3月、聯合汽車電子有限公司(UAES:United Automotive Electronic Systems)と、窒化ガリウム(GaN)パワー半導体に関して包括的協力関係を結んだと発表した。GaN技術を用いた電気自動車(EV)用電源システム向けのソリューションを共同で開発していく。
UAESは、自動車メーカーに対し車載パワートレインや車体制御システムに向けたソリューションを提供している。中でも得意とするのが、ガソリンエンジン・マネジメントシステムやトランスミッション制御システム、ボディーエレクトロニクス、ハイブリッド/電気駆動制御システムなどである。
同社は既に、EV向け車載充電器や高電圧DC-DCコンバーターなどに、Nexperia製GaN FETを採用しているという。Nexperia製半導体デバイスの高いスイッチング周波数と優れた電力変換効率などを高く評価している。
これに対しNexperiaは、車載信頼性規格「AEC-Q101」に準拠した製品を製造、供給するため、GaN半導体デバイスのほとんどを、グローバルに展開する自社製造ラインで量産しているという。また、2021年2月には、パワー半導体の生産能力と研究開発体制の強化に向けて、追加投資を行うことも発表している。
Nexperiaのセールス&マーケティング担当シニアバイスプレジデントでNexperia中国ゼネラルマネジャーを兼務するPaul Zhang氏は、「車載GaN技術アプリケーションの開発に向けて、投資の拡大とラボの共同開設を計画している」と述べた。UAESでも、「今回のパートナーシップにより、使用する部品点数とコストの低減、電力密度やシステム全体の信頼性と効果の向上が可能になる」とコメントしている。
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