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マクセル、セラミックパッケージ型全固体電池を開発:リフローはんだ付けで面実装が可能
マクセルは、セラミックパッケージ型の硫化物系全固体電池「PSB041515L」を開発した。コイン形全固体電池の容量や出力特性を維持したまま、耐熱性と密閉性を高めた。2021年中のサンプル出荷を予定している。
250℃の温度環境下でも高い信頼性を確保
マクセルは2021年3月、セラミックパッケージ型の硫化物系全固体電池「PSB041515L」を開発したと発表した。コイン形全固体電池の容量や出力特性を維持したまま、耐熱性と密閉性を高めた。2021年中のサンプル出荷を予定している。
PSB041515Lは、外装に京セラ製のセラミックパッケージを採用した。また、電解質は、三井金属鉱業との協業により開発したアルジロダイト型高性能固体電解質を用いた。サンプル品の公称電圧は2.3V、標準容量は8.0mAhで、外形寸法は14.5×14.5×4mmである。
セラミックパッケージを採用したことで、250℃の温度環境でも高い信頼性を確保。リフローはんだ付けにより、プリント基板への表面実装を可能とした。また、リフロー後のヘリウムリーク試験では、溶接条件を最適化することで10-11(Pa・m3/秒)レベルを達成しているという。
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