三菱電機、パワー半導体モジュールXシリーズ拡充:HVIGBT/HVDIODEモジュール
三菱電機は、鉄道車両や直流送電、大型産業機械などに用いるインバーター向けパワー半導体モジュール「Xシリーズ」7品種を開発、2021年7月1日以降に順次発売する。
大型産業機器向けインバーターの大容量化、小型化に対応
三菱電機は2021年4月、鉄道車両や直流送電、大型産業機械などに用いるインバーター向けパワー半導体モジュール「Xシリーズ」7品種を開発、2021年7月1日以降に順次発売すると発表した。
新製品は、HVIGBT(高耐電圧絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)モジュールとして、定格電圧が1.7kVと4.5kVの2品種。HVDIODE(高耐電圧ダイオード)モジュールとして、定格電圧が1.7kV/3.3kV/4.5kVの5品種である。新製品を加えXシリーズは合計24品種となり、大型産業機器向けインバーターの幅広い容量帯に対応することが可能となった。
新製品は、CSTBT構造の第7世代IGBTやRFC(Relaxed Field of Cathode)ダイオードを搭載している。これにより電力損失と熱抵抗を低減し定格電流を拡大するなど、インバーターの大容量化を可能とした。
従来のHシリーズに比べて、小型化や開発期間の短縮も可能となる。例えば「CM900HC-90X」の外形寸法は140×130×38mmで、耐電圧や定格電流が同じ「CM900HC-90H」などと比べ、約33%も小さい。一方で、「CM2400HCB-34X」は外形寸法が140×190×38mmで、定格電流が同じ「CM2400HC-34H」などと外形互換性があり、置き換えが容易だという。
新製品のサンプル価格(税込み)は、HVIGBTモジュールが15万7300円から22万500円、HVDIODEモジュールが8万4100円から22万6900円である。
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