“ポストAI時代”の大規模導入を見据えるSambaNova:総額11億ドルを調達した新興企業(2/2 ページ)
データセンター向けAI(人工知能)チップやシステム開発を手掛ける新興企業SambaNovaは最近、シリーズDの投資ラウンドにおいて6億7600万米ドルという巨額の資金を調達し、大きな注目を集めている。同社は、2020年末にひっそりと登場した、社員数百人の若い企業でありながら、50億米ドル超というとてつもない企業価値を実現した。
大規模なAI導入を簡素化する
SambaNovaの使命は、大規模なAI導入を簡素化することだ。AI事業を確立するためのプロセスでは、たとえ大規模な企業でも長期間にわたる懸命な取り組みが求められる。例えば、希少なデータサイエンティストを大勢雇用することや、必要な技術インフラについて検討することなどが挙げられる。その次に、極めて迅速に展開していくモデル分野の最先端研究に確実に対応しながら、データ収集やAIモデルの選択と開発を行う必要がある。
だが、AIを導入する企業は、AIの専門家ではない。「なぜなら、ビジネスは別のものだからだ」とLiang氏は述べる。「これらの企業は、できるだけ効率的に、最先端のレベルに到達する方法を探している。われわれは、そのために当社を設立したのだ」(同氏)
SambaNovaは、大規模なデータサイエンスチームが必要とされるタスクの多くを請け負うことを強みとしている。同社は、ハードウェアとソフトウェアのシステムを維持し、高い精度でモデルをトレーニングし、全てが、できる限り効率的に実行されるようにしている。
SambaNovaは、データセンター用AIチップのスタートアップ企業の中でも、多額の資金調達を実現している“エリート企業”の一つだ(他にはGraphcore、Groq、Cerebrasなどがある)。他の新興企業と同様に、SambaNovaはNVIDIAやIntelから市場シェアの一部を奪うことを目指している。この市場では、どの企業や技術が「勝ち組」になるかがよく議論されるが、Liang氏は、AI技術はいずれ広く普及し、あらゆるレベルで産業全体を支えるようになると考えている。
「インターネットの世界では多くの勝者が存在した。過去20年以上にわたり、ネットワークやストレージなどの異なるレベルで、“プレインターネット(pre-internet)”から“ポストインターネット(post-internet)”へと業界が移行する中で、勝ち残っていったわけだが、AIでも同じことが起こるだろう。AIは広範にわたる産業となり、さまざまなアプリケーションの中でセグメント化されていくと思われる」(Liang氏)
Liang氏はSambaNovaが、その市場の一部を切り開くことができると確信している。このような巨大な市場機会と、実績のある経験豊富なチーム、11億米ドルの資金を組み合わせれば、誰もが自信を持てるのではないだろうか。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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