DNP、5G電波の到達エリアを広げる電波反射板を開発:狙った方向にミリ波を反射
大日本印刷(DNP)は、5G(第5世代移動通信)システムで用いられるミリ波帯(24GHz以上)の電波を、狙った方向に反射することで到達エリアを拡大できる「電波反射板(リフレクトアレイ)」を開発した。ビル陰など電波が届きにくい場所の通信環境を、低コストで改善することが可能となる。
反射波の広がり方などを、あらかじめ調整可能
大日本印刷(DNP)は2021年8月、5G(第5世代移動通信)システムで用いられるミリ波帯(24GHz以上)の電波を、狙った方向に反射することで到達エリアを拡大できる「電波反射板(リフレクトアレイ)」を開発したと発表した。ビル陰など電波が届きにくい場所の通信環境を低コストで改善することが可能になる。
ミリ波帯の電波は、高速大容量通信に適しているが、直進性が高く到達距離も短い。このため、ビル陰などで電波が遮断されて通信品質が低下することもあり、基地局や中継機器などの増設が必要なケースもあるという。
開発したリフレクトアレイは、特定の周波数帯のみを選択的に反射し、それ以外の電波は透過する層「周波数選択反射層(FSS層)」と、入反射する電波の方向を決める特殊な誘電体層「反射方向制御層」および、これらの層を保護しながら、耐久性や意匠性に優れた「デザインカバー層」で構成される。
リフレクトアレイは、「反射する周波数帯」や「基地局から受ける電波の入射角」「電波を反射させる角度」「反射波の広がり方」などを自由に設定できる。このため、さまざまな場所に設置することができ、電源も不要である。対象周波数帯以外の電波は透過させるため、既存電波への影響も軽減できるという。
DNPは今後、通信キャリアなど通信関連会社と共同で、開発したリフレクトアレイの機能検証を行い、2023年度にも実用化を目指す。今回開発したのは、電波の反射方向を固定する「パッシブタイプ」だが、今後は反射方向を固定しない「アクティブタイプ」も複数社と共同開発していく計画。既に国の開発プロジェクトに採択されているという。
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