ニュース
京セミ、高出力の光給電コンバーターを開発:最大光入力の定格値は従来比3倍
京都セミコンダクターは2021年9月、レーザー給電に向けて、光入力に対する出力を従来の1.3倍に高めた光給電コンバーター「KPC8H-FC」を開発し、サンプル出荷を始めた。最大光入力値も従来品の3倍とした。
遠隔地の設備機器や電磁界アンテナへのレーザー給電向け
京都セミコンダクターは2021年9月、レーザー給電に向けて、光入力に対する出力を従来の1.3倍に高めた光給電コンバーター「KPC8H-FC」を開発し、サンプル出荷を始めた。最大光入力値も従来品の3倍にした。
光ファイバーケーブルを介したレーザー給電は、メタル電線を用いた電力伝送に比べて損失が少なく、電磁ノイズの影響を受けない、などの特長がある。このため、遠隔地にある設備機器や航空機器内の設備機器などへの送電用途に利用されているという。
同社は2011年から光給電コンバーター「KPC8-T」の供給を行ってきた。KPC8H-FCは、顧客からの要求に基づき、出力と形状を改善した製品である。具体的には、光入力に対する出力が従来製品に比べ1.3倍も向上したという。また、放熱性を高めたことで、最大光入力の定格値は600mWとなり、従来品(200mW)の3倍になった。
パッケージは、FCレセプタクル一体型モジュールとした。このため、機器類の操作パネルに、直接取り付け(パネルマウント)が可能となった。従来品の光ファイバー一体型ピグテイルモジュールに比べ実装スペースを削減できるため、機器の小型化を可能にした。
KPC8H-FCの主な仕様は、検出波長が1300〜1600nm、最大出力は3.1V-48mA、動作温度範囲は−40〜70℃である。遠隔地の設備機器や電磁界アンテナなどへの給電用途に向ける。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 京セミ、アバランシェフォトダイオードを発表
京都セミコンダクター(以下、京セミ)は、KP-Aアバランシェフォトダイオード(APD)「KPDEA13C」を発表した。また、米国Semtech(SMTC)と協力し、高速光通信向けのソリューションを提供していく。 - 25年前の装置もラズパイでIoT化、京セミのDX
光半導体デバイスの専業メーカーである京都セミコンダクター(以下、京セミ)は2020年12月4日、同社の工場がある恵庭事業所(北海道恵庭市)と上砂川事業所(北海道空知郡)において、旧式の製造設備をIoT(モノのインターネット)化した「スマートFab」の運用を開始した。京セミは同年12月10日、東京本社で記者説明会を開催し、詳細を紹介した。 - 30GHz送受信用光デバイスを開発、京セミ
京都セミコンダクター(京セミ)は2020年7月、波長850nmを用いた超高速30GHz送受信用光デバイスを開発したと発表した - 京セミ、変調帯域40GHzのフォトダイオード開発
京都セミコンダクターは、変調帯域40GHzを実現したインジウムガリウムヒ素フォトダイオード(InGaAs-PD)「KP-H KPDEH12LC-CC1C」を開発した。「Beyond 5G」を見据えた製品で、4値変調方式(PAM4)を利用した伝送速度400Gビット/秒の伝送システムに対応する。 - 京セミが光半導体の製造能力強化、工場のIoT化も
京都セミコンダクターは2020年6月9日、札幌市で記者説明会を開催し、同社の概要や中期戦略計画などを紹介した。 - 京都セミコンダクター、高さがわずか1.1mmで波長範囲の広い赤外線フォトダイオードを製品化
京都セミコンダクターが、受光波長範囲が広く、高さが1.1mmと薄型の赤外線フォトダイオード(PD)を製品化した。同製品を、PDの解説と併せて紹介する。