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DNP、QFNパッケージ向けリードフレーム開発:粗い銅面で樹脂との密着性を向上
大日本印刷(DNP)は、車載用ICなどに用いられるQFNタイプのパッケージ材料として、高い精度と信頼性を実現した「リードフレーム」を開発した。DNPは今後、生産設備を増強し、2023年度には新製品の生産能力を現在の約2倍に引き上げる計画である。
JEDEC規格MSLで、最高レベルの評価受ける
大日本印刷(DNP)は2021年10月、車載用ICなどに用いられるQFNタイプのパッケージ材料として、高い精度と信頼性を実現した「リードフレーム」を開発したと発表した。DNPは今後、生産設備を増強し、2023年度には新製品の生産能力を現在の約2倍に引き上げる計画である。
ICは微細加工技術による小型化や、多機能化に伴う多ピン化などが進む。このため、ICパッケージにも高密度実装や優れた放熱特性、信頼性などを実現するための技術が求められる。半導体チップを固定し、実装基板と接続するためのリードフレームにおいても、同様の対応が必要となる。
DNPが新たに開発したリードフレームは、封止材と密着する銅の表面を、粗く加工した。これにより接触面積が広がり、パッケージ内で樹脂との密着性を高めた。また、リードフレームにおける銀めっきエリアの形成を、±25μmという高い精度で実現した。このことも、パッケージ内部に水分が侵入することを防いでいるという。
なお、開発したリードフレームは、JEDEC規格のMSL(Moisture Sensitivity Level)において、最高レベルとなるMSL1(温度30℃、湿度85%以下)環境でも、最高度の永続性(寿命なし)があると評価された。
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