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「InFO」構造を積層したミリ波帯域用高性能パッケージ福田昭のデバイス通信(332) TSMCが開発してきた最先端パッケージング技術(5)(2/2 ページ)

今回から、さらに高い性能のコンピューティングに向けて「InFO」技術を改良した2種類のパッケージを解説する。

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ミリ波帯域の挿入損失が25%〜30%減少

 始めは2個の「InFO」構造を積層する「InFO_SoIS(System on Integrated Substrate)」技術の概要を説明しよう。講演スライドが示した「InFO_SoIS」パッケージは、以下のような構造となっている。まず、再配線層(RDL)の上にSoC(System on a Chip)ダイとI/Oダイを搭載してあり、RDLによって信号線と電源線を下部に引き出す。この構造を「InFO1」と呼ぶ。下部に引き出した信号線と電源線は、マイクロバンプを通じて多層配線の樹脂基板(RDL)につながる。多層の樹脂基板の底部には、信号線と電源線を外部に引き出すバンプがInFO1よりも広いピッチでレイアウトされている。この構造を「InFO2」と呼ぶ。また樹脂基板の周縁部には反り防止用のリング(Stiffener Ring)を取り付けてある。


「InFO_SoIS」の構造図(左)と試作例(右)[クリックで拡大] 出所:TSMC(Hot Chips 33の講演「TSMC packaging technologies for chiplets and 3D」のスライドから)

 試作した「InFO_SoIS」パッケージは、1個のSoCと、4個のI/OダイをInFO1に収容し、InFO2によって支持されている。大きさは91mm角である。シリコンダイは全て良品であり、パッケージの組み立てによる歩留まりは95%を超える。またさらに大きな110mm角の「InFO_SoIS」パッケージは100%の歩留まりを得ているとする。

 試作した「InFO_SoIS」パッケージのミリ波帯域における損失を、従来の樹脂基板(GL102)と比較した。挿入損失(温度25℃〜125℃)は28GHzで約25%、50GHzで約30%、減少した。


「InFO_SoIS」のミリ波帯域における挿入損失。従来の樹脂基板(GL102)と比較した。左下の表は28GHzおよび50GHzの相対値(従来基板を1.0としたもの)、右下のグラフは挿入損失の周波数特性[クリックで拡大] 出所:TSMC(Hot Chips 33の講演「TSMC packaging technologies for chiplets and 3D」のスライドから)

次回に続く

⇒「福田昭のデバイス通信」連載バックナンバー一覧

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