この記事は、2021年11月15日発行の「電子機器設計/組み込み開発 メールマガジン」に掲載されたEE Times Japan/EDN Japanの編集担当者による編集後記の転載です。
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パワー半導体の市場拡大に向け、投資を積極化する国内企業
先週末まで「国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)」が開催され、各国の炭素排出量削減目標などが話題になってもいましたが、近年、「二酸化炭素排出削減」「カーボンニュートラル」への取り組みが世界的に加速する中、その鍵を握るといわれるパワー半導体の需要が急速に高まっています。
富士経済によれば、Si(シリコン)パワー半導体およびSiC(炭化ケイ素)、GaN(窒化ガリウム)などの次世代パワー半導体の世界市場は2020年の2兆8043億円に対し、2030年には4兆471億円規模にまで成長する見込みということです。
このパワー半導体は、売上高トップのInfineon Technologiesやonsemi、STMicroelectronisという強い海外競合がいるものの、三菱電機や東芝、富士電機、ロームなどの日本企業も高いシェアを有する分野。そして、最近、これら日本企業各社がパワー半導体への投資拡大計画を相次いで発表、更新してきましたので、まとめてみました。
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