LoRa利用したIoTネットワーク新製品を発表、Amazon:最大8km離れた数百台と接続(2/2 ページ)
Amazonは、最新の「Sidewalk」製品を発表し、IoT(モノのインターネット)分野への進出を目指している。「Amazon Sidewalk Bridge Pro」は、LoRa(Long Range)プロトコルを使用して、屋内または屋外アンテナで最大8km離れた数百台の互換性のあるIoT デバイスを接続する堅牢なデバイスだ。
Sidewalkの今後の展開は
Amazonはより強力なSidewalkデバイスを発表し、LPWAN(Low Power Wide Area Network)IoT分野への進出を始めている。LoRaWANネットワークの事業者がいつからAmazonの最新動向に注意する必要があるのかは、まだ分からない。だが、Amazonは以前にも業界を揺るがすような変化を起こしている。「Amazon Effect(アマゾン効果)」とは、オンライン販売の激増と実店舗の混乱を招き、それに伴って小売店が不安を抱えることを指す。
IoT事業者は今後、“Sidewalkの急増”を目の当たりにすることになるのだろうか? おそらく、そうなるだろう。
Amazonは、さまざまなアプリケーションに適したIoT専用ネットワークを開発およびサポートできることの重要性をはっきりと認識している。同社は、山火事に関する重要データを初期対応者に提供する大気質監視システムの開発を手掛けるThingyとの概念実証も進めているさなかだ。
当然ながら、大気汚染物質や湿度などを監視するAQ機器を配備することは非常に新しいアイデアで、森林や林地は通常、セルラー基地局やWi-Fiホットスポットの近くにはない。
ThingyのCEO(最高経営責任者)を務めるScott Waller氏は声明の中で、「『Thingy AQ』は、火災現場の作業に電力効率とカバレッジの範囲が極めて重要となる遠隔地向けに設計し、当初からLoRaを使用している。Bridge Proは、膨大な数の機器が必要な場所にLoRa接続を提供し、Amazon Web Servicesの既存アプリケーションと簡単に統合して、デバイスとアプリケーションに信頼できるセキュリティを実現する」と述べている。
米国EE Timesは2021年、IoTへの支出が増加する可能性が高い分野として、山火事の検知を挙げた。カリフォルニアやアマゾンの熱帯雨林など、世界各地で山火事が増加しているため、企業各社は現在、火災の発生を検知可能なセンサーの開発を進めている。
AmazonとThingyは、最初のプレスリリース以上のことは何も明らかにしていない。山火事防止への関心の高まりに伴うIoT支出の拡大や、2021年11月に米国で大規模インフラの法案が可決されたことでIoTに有利な条件がそろったことを考えると、ThingyがAQセンサーをサポートするために展開するBridge Proデバイスの台数や、ユニットの価格、展開する場所を注視していく必要があるだろう。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 「Wi-Fi HaLow」の本格普及に向け認証プログラムが開始
Wi-Fi Allianceは2021年11月、「Wi-Fi HaLow」(IEEE 802.11ah)の認証プログラムである「Wi-Fi CERTIFIED HaLow」を開始した。 - ZETA通信を利用したクラウドタグ向けLSIを開発
ソシオネクストと英国ZiFiSenseおよび、テクサーの3社は、ZETA通信規格を利用するクラウドタグ「ZETag」に向けたLSI「SC1330」を開発した。次世代規格「Advanced M-FSK」に対応している。 - IoT向け5G規格「NR-RedCap」対応機器、2023年に登場か
「NR-RedCap(New Radio Reduced Capability)」は、移動体通信の標準化団体「3GPP(3rd Generation Partnership Project)」が近く発表予定のアップデート仕様で、5G(第5世代移動通信)スマートウォッチなどのウェアラブルデバイスや、セキュリティカメラなどのIoT(モノのインターネット)デバイスの開発を促進すると期待される。現在これらのデバイスは、ほとんどが4G/LTEネットワークで提供されている。 - STマイクロ、低価格のLoRa開発パックを発売
STマイクロエレクトロニクスは、LPWA(Low Power Wide Area)無線ネットワーク規格の1つである「LoRa WAN」に対応するシステム開発を支援する「LoRa開発パック」2種類を発表した。 - 5Gにおける「NB-IoT/LTE-M」の位置付け
「5G NR Phase 1(3GPP Release 15)」の標準仕様が完成し、5G(第5世代移動通信)はまた一つ、大きなマイルストーンに到達した。その中で、注目を集めているのが5GにおけるLPWA(Low Power Wide Area)、具体的には「NB-IoT」「LTE-M」の位置付けだ。 - 「NB-IoT」はどうなっているのか
業界では、新しい技術が生み出されると、現実的な予測を大きく超えるような過剰な宣伝が行われる。その典型的な例として挙げられるのが、NB(ナローバンド)‐IoT(モノのインターネット)の誕生と、少なくとも北米や欧州において4G(第4世代移動通信)技術に対する商業的な期待の高まりが沈静化してしまったことに関するストーリーではないだろうか。