オートノマスファクトリーを実現する新製品を発売:自律的に進化を続け状況変化に即応
パナソニック スマートファクトリーソリューションズは、さまざまな状況の変化に即応可能な、自律的に進化を続ける工場「Autonomous Factory(オートノマスファクトリー)」の実現に向けた「NPM Gシリーズ」など4製品を開発し、順次発売する。
「24時間365日止まらない工場」を目指す
パナソニック スマートファクトリーソリューションズは2022年2月14日、さまざまな状況の変化に即応可能な、自律的に進化を続ける工場「Autonomous Factory(オートノマスファクトリー)」の実現に向けた「NPM Gシリーズ」など4製品を開発し、順次発売すると発表した。2030年をめどに「24時間365日止まらない工場」の実現を目指す。
同社が目指すオートノマスファクトリーとは、「5M」と呼ぶ、生産工程で品質に影響を及ぼす5つの変動要素(huMan、Machine、Material、Method、Measurement)をAIで自律的に制御し、進化を続けていく工場である。これによって、さまざまなトラブルの要因となる5Mのばらつきを極小化したモノづくりを実現していく。
そして、サプライチェーン管理(SCM)ソフトウェアプラットフォームとエッジデバイス、IoT(モノのインターネット)を融合させた「オートノマスサプライチェーン」を実現するソリューションを提供していくことで、顧客の経営改革や資源の有効活用などに貢献していくという。
オートノマスファクトリーの実現に向けて、今回はNPM Gシリーズなど4製品を発表した。2022年2月16日から発売する5Mプロセスコントロール「APC-5M」、2022年度上期に発売予定のスクリーン印刷機「NPM-GP/L」と、実装部品を自動供給する「Auto Setting Feeder」、2022年度下期に発売するモジュラーマウンター「NPM-GH」である。
APC-5Mは、良品の生産と安定した生産を行うことができるシステムである。5Mのばらつきを即時に監視し、ラインの変化を検出する。収集したデータを分析し問題があればその要因を特定し、自律的に課題を解決することができる。このため、使い込むほど精度が高いシステムに成長していくという。ユニットの交換時期なども判断できるため、上位システムと連係して予知保全を行うことが可能となる。
NPM-GP/Lは、印刷精度±3.8μm、サイクルタイム12秒という、はんだ印刷性能を実現した。印刷工程の完全自動化機能もオプションで用意した。印刷用マスクを最大10品種までストックできる「マスクチェンジャー」や、はんだ自動供給/回収、基板を支える下受けピンを自動で交換する機能などにより、異なる基板サイズへの切り替え作業を自動化することができる。
Auto Setting Feederは、幅4〜104mmの表面実装部品供給テープについて、カバーテープを自動で剥がす機能を搭載している。また、使用中のテープが終わると、ローディングユニットにより、次のテープを自動で補給することができる。専用台車を用いると、現行のNPMやNPM-Xシリーズでも使用することが可能となる。
NPM-GHは、±10μmの装着精度を実現した。また、実装ヘッドの小型軽量化により、±15μmの精度領域で、最大で毎時4万1000チップという高い生産性を達成している。
この他、多目的AMR(自律走行搬送ロボット)により、実装フロアにおける移動作業を自動化するシステムや、5Mの変化に追従して無駄のない企画立案を進化させ続けるサイバー領域の知能化システムの投入なども計画している。
なお、同社はパナソニックグループの持ち株会社制への移行に伴い、2022年4月から「パナソニック コネクト」に変わる。オートノマスファクトリーに向けたソリューションの提供などにより、プロセスオートメーション事業部門の販売額を2020年度の1900億円に対し、2030年度には4000億円規模としたい考え。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 電池の材料開発や製造プロセス開発で産学連携
東京大学生産技術研究所(東大生研)とプライムプラネットエナジー&ソリューションズ(PPES)、パナソニックおよび、豊田通商の4者は、リチウムイオン電池に用いる資源やリサイクルに関する「産学連携研究協力協定」を締結した。産学が連携し、電池用途に特化した材料の製造プロセスや、リサイクルのプロセス開発に取り組む。 - 次世代高速通信向け低伝送損失多層基板材料を開発
パナソニック インダストリー社は、従来品に比べ伝送損失を約30%改善した多層基板材料「MEGTRON 8(メグトロン エイト)」を開発した。800Gビットイーサネットなど、大容量化や高速化が進む次世代高速通信技術に対応する。 - 第4世代HD-PLC準拠の電力線通信モジュール試作
シキノハイテックとソシオネクストは、電力線通信技術「HD-PLC」の第4世代規格「IEEE 1901-2020」に準拠した電力線通信モジュール「P-TMFSU-041」を試作し、その動作を確認した。2022年度の商品化を目指す。 - 数ミリ〜数十センチ間で、数百Mbpsの高速無線通信
パナソニックは2021年11月10日、OFDM(直交周波数分割多重)変調方式の一つであるWavelet OFDMを適用した近距離無線通信技術「PaWalet Link」を開発したと発表した。 - インフィニオン、パナと第2世代GaNパワー半導体を共同開発へ
Infineon Technologies(以下、Infineon)とパナソニックは2021年9月2日(ドイツ時間)、窒化ガリウム(GaN)パワー半導体の第2世代(Gen2)を共同開発/製造する契約を締結したと発表した。Gen2は650VのGaN HEMTとして開発。2023年前半に市場投入予定だ。 - 高い実装信頼性を実現する半導体パッケージ基板材料
パナソニック インダストリアルソリューションズ社は2021年6月22日、低熱膨張性で反りを抑制するとともに、はんだボールへの応力低減を実現した「半導体パッケージ基板材料(品番:R-1515V)」を製品化したと発表した。