Intel、TSMCを活用しつつ「リーダーシップを取り戻す」:チップレットの3D実装などが成長の鍵に(3/3 ページ)
Intelが、かつてのライバルであったTSMCへの依存度を高めている。売上高を増加させ、最終的に製造規模と半導体プロセス技術分野において世界リーダーとしての優位性を取り戻していきたい考えのようだ。
TSMCとの提携強化で成長を加速するIntel
Intelは、半導体業界のほとんどの企業が現在もサプライチェーンの問題に直面している中で、このプログラムを実行しようとしているのだ。
Simpson氏は、「半導体装置メーカーは現在、TSMCやIntel、Samsungなどの設備投資計画をサポートすることで手いっぱいの状態にある。Intelが、CPUの製造でTSMCを活用しつつ製造戦略をシフトしていくためには、それらを全て、長期的な供給計画プロセスの一環として注意深く実行していく必要がある。もしIntelが、自社事業を成長させていくために必要な製造装置を調達できない場合、TSMCの最先端ノードでの製造量を増やしていくことは戦略的に意味があるといえるだろう」と述べる。
Intel/TSMCのパートナーシップのロードマップは、3nm世代までは具体化されており、それ以降は両社がより競合に近い存在になる可能性が高い。Intelは、2023年に投入予定の新型CPU「Meteor Lake」と、その後継となる「Arrow Lake」が2014年に登場することで、TSMCがノードを“ナノメートル”から“オングストローム”で表現するようになることを期待している。
Bernstein&Co.のシニアリサーチアナリスト、Mark Li氏はEE Timesに「Intelは、主にTSMCの3nmと5nm、そしていくらかは6nmで生産委託するだろう。両社は既に準備を進めてきており、大規模な量産は2023年初頭に始まるだろう」と説明している。
Intelの技術開発担当ゼネラルマネジャー、Ann Kelleher氏は、「Intel 20A」のプロセス技術で「リーダーシップを取り戻す」と誓った。2023年から2024年にかけて、Intelはノードの呼称を変更し、技術のリーダーシップを取り戻すとしている。
その間、TSMC、Intel、そしてAppleやMediaTekといった顧客の売上高は、半導体ファウンドリーがビジネスを支配しようとする上で重要な要素となる。首位のTSMCは、ここ数年、年間売上高が20%近く、あるいはそれを超える伸びを示しており、新工場の拡張に300億米ドルもの設備投資を実施した。米国オハイオ州での新工場建設を発表したIntelは2022年2月17日、「年間売上高成長率があと数年は2桁に達しないだろう」と述べた。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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