ワイヤレス超音波プローブ用チップセットを開発:2種類の専用LSIだけで実現
ソシオネクストは、ワイヤレス超音波プローブ向けに、2種類の専用LSIからなるチップセット「viewphii64」を開発した。このチップセットを搭載したワイヤレス超音波プローブも試作した。
医療機器の「小型」「省電力」「ケーブルレス」化を可能に
ソシオネクストは2022年4月、ワイヤレス超音波プローブ向けに、2種類の専用LSIからなるチップセット「viewphii64」を開発したと発表した。開発したチップセットを搭載したワイヤレス超音波プローブも試作した。
ソシオネクストは、信号処理や画像処理技術を生かし、医療機器の「小型」「省電力」「ケーブルレス」化を可能にする技術プラットッフォームとして、「viewphii(ビューフィー)」シリーズを開発、提供している。2020年1月には、自社開発のLSIを搭載したワイヤレスハンドヘルド型超音波診断装置「viewphii-US」の販売も始めた。
今回は、viewphii-USの性能や機能をさらに高めていくため、2種類の専用LSIからなるチップセット「viewphii64」を新たに開発した。1つは、超音波振動子に集積された64素子を同時に駆動する機能と、受信した微弱信号を後段のLSIに送るためのアナログスイッチ機能を備えた「パルサLSI」である。
もう1つは、パルサLSIから受け取った微弱信号を増幅し、A-D変換や整相加算をするビームフォーマー機能および超音波画像を生成する機能に加えて、システム全体の制御を行うための機能を搭載した「超音波画像生成LSI」である。
viewphii64は、2022年8月よりサンプル品の提供を始める。量産出荷開始は2022年12月の予定。外形寸法はパルサLSIが24×24mm、超音波画像生成LSIが23×23mmである。
viewphii64を用いると、Tx(送信)側が最大96チャネル(バルサLSIを2個用いると最大192チャネルまで拡張可能)、Rx(受信)側が64チャネルというワイヤレス超音波プローブシステムを実現することができる。従来に比べ小型化を可能にしながら、消費電力はBモード時で同等の1W(代表値)に抑えることができるという。さらに、ハーモニックイメージングや空間コンパウンドなどの拡張に対応したことで、高精細な画像描画を可能にした。
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