Li電池用の超小型マルチファンクション充電IC:ワイヤレス給電対応や充電モニターなど多機能(2/2 ページ)
トレックス・セミコンダクターは2022年5月27日、充放電制御機能に加え、充電/電池電圧モニター、ワイヤレス給電対応などさまざまな機能を搭載したリチウムイオン電池用小型充電IC「XC6810シリーズ」を発表した。同日より発売しており、小型化が進むウェアラブル機器やIoTセンサー向けなどをターゲットに「数年後には年間50万個の販売を目指す」としている。
簡易的な状態モニター機能を実現
2つ目は、状態モニター機能だ。充電状態出力モニター用のCSO端子では、従来のLEDドライブによる表示に加え、充電レベル/状態を周波数で示すタイプを用意。充電レベル(60%以下、60〜90%、90%以上)や満充電、充電停止、エラーを、プルアップ抵抗を用いてマイコンに伝えることができる。さらにマイコンで電池電圧を直接監視するバッテリー電圧モニター機能も搭載。「従来、別途高価なバッテリーフューエルゲージICでなければできなかった機能を簡易的にだが、追加投資なしで実現できるようになる」としている。
3つ目は各種用途や給電入力への対応だ。3.5〜28Vという幅広い給電/充電対応によるワイヤレス給電、エナジーハーベストへの対応のほか、クレードルを用いた接触式充電時には、CSO端子が入力電源ラインを変調することによる2線式通信を用い、前述の充電状態出力/通信が可能となる機能を実現している。
同社の担当者は、「ウェアラブル機器は価格やデザイン上の制限の他、汗や汚れなどの問題があり、端子数はできるだけ減らしたいという要望がある。本製品を用いれば電源ラインだけで充電状態出力/通信が可能となる」と説明した。
また、充電中のシステムオフ機能もオプションで用意。説明担当者は、「特に補聴器や医療関連のセンサー、ワイヤレスイヤフォンなどで要求がある」と説明していた。
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