連載
ダイオードを使った整流回路の解析:常微分方程式とEDAソフトウェア:福田昭のデバイス通信(364) imecが語るワイヤレス電力伝送技術(18)(2/2 ページ)
今回は、常微分方程式を数値計算によって解く手法と、EDAソフトウェアを活用する手法を紹介する。
高周波回路を扱うEDAソフトウェア
次はEDAソフトウェアを使う方法である。マイクロ波を入力とするダイオード整流回路の解析には、高周波回路に対応したEDAソフトウェアを利用することが珍しくない。商業ベースのEDAソフトウェアとして良く知られているのは、Keysight Technologiesが販売している「ADS(Advanced Design System」)」だろう。回路設計、IC設計、プリント基板設計などを支援する。ADSには、非線形領域で回路の入出力関係を示す「Xパラメータ」(参考記事:「高周波の非線形特性を高精度に解析、新概念の「Xパラメータ」で実現」)を扱えるという特長がある。
EDAソフトウェア(ADS)を利用したダイオード整流回路の解析例。左はADSで設計したダイオード整流回路の回路図。ダイオードはSkyworks Solutionsの「SMS7630」[クリックで拡大] 出所:imecおよびEindhoven University of Technology(IEDMショートコースの講演「Practical Implementation of Wireless Power Transfer」のスライドから)
ADSで設計したダイオード整流回路のシミュレーション例(中央下、周波数特性)[クリックで拡大] 出所:imecおよびEindhoven University of Technology(IEDMショートコースの講演「Practical Implementation of Wireless Power Transfer」のスライドから)
無料の高周波回路シミュレーターでは、「Qucs(Quite Universal Circuit Simulator)」とその発展形「QucsStudio」が知られている。いずれも公式ウェブサイトからソフトウェアを無料でダウンロードできる。なお両者には互換性がないので、注意されたい。
⇒「福田昭のデバイス通信」連載バックナンバー一覧
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- マイクロ波による電力伝送技術の基礎理論(アンテナの解説)
今回は、アンテナ(主に送電用アンテナ)を解説した講演部分を紹介する。 - 交流のマイクロ波から直流の電力を取り出す「レクテナ」
今回からは、レクテナに関する講演部分を解説する。 - ダイオードを使った整流回路の解析:Ritz-Galerkin(リッツ・ガラーキン)法
今回は近似解を求める手法である「Ritz-Galerkin(リッツ・ガラーキン)法」を簡単に説明しよう。 - フラッシュメモリに関する世界最大のイベント「FMS」が3年ぶりに復活
フラッシュメモリに関する世界最大のイベント「フラッシュメモリサミット(FMS:Flash Memory Summit)」が3年ぶりに復活する。 - ワイヤレス電力伝送の過去から未来までを展望
今回から、「IEDM 2021」でオランダimec Holst Centreでシニアリサーチャー、オランダEindhoven University of TechnologyでフルプロフェッサーをつとめるHubregt J. Visser氏が講演した「Practical Implementation of Wireless Power Transfer(ワイヤレス電力伝送の実用的な実装)」の内容を紹介する。 - 大電力対応ワイヤレス充電用シート型コイルを開発
大日本印刷(DNP)は、電動車や無人搬送車(AGV)向けに、11.1kWクラスの大電力伝送に対応しつつ、薄型軽量でコスト低減を可能にした「ワイヤレス充電用シート型コイル」を開発した。