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ユニチカ、6G向け「磁性ナノワイヤ」を開発:テラヘルツ帯の電磁ノイズを遮蔽
ユニチカは、テラヘルツ帯の電波を用いる6G(第6世代移動通信)などの次世代通信において、電磁ノイズを50dB以上も遮蔽(しゃへい)できる超微細繊維「磁性ナノワイヤ」を開発した。
鉄やニッケルの金属を、約100nmの太さに加工
ユニチカは2022年9月、テラヘルツ帯の電波を用いる6G(第6世代移動通信)などの次世代通信において、電磁ノイズを50dB以上も遮蔽(しゃへい)できる超微細繊維「磁性ナノワイヤ」を開発したと発表した。
磁性ナノワイヤは、鉄やニッケルの金属を、約100nmの太さに加工したもので、髪の毛の太さに比べると500分の1という極めて細い繊維である。この繊維を樹脂材料などに添加することで、幅広い周波数帯の電磁ノイズを吸収(遮蔽)することができるという。
テラヘルツ帯の電波を用いた無線通信の実験では、厚み1mm未満のシートでも10〜50dBの遮蔽性能があることを確認した。また、磁性ナノワイヤの含有量が0.1〜4.5vol%と、極めて少ない場合でも、遮蔽効果が得られるという。このため、樹脂材料が有する加工性や柔軟性なども生かしながら製品設計が可能になる。
開発した磁性ナノワイヤは、6G対応のアンテナやレーダーへの応用を始め、導電材料や電池用部材としてさまざまな用途への展開を目指す。
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