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急速に成長を遂げるSiC市場、その背景を探る30年までCAGR11.7%で急成長へ(2/2 ページ)

SiC(炭化ケイ素)はもはや、単なるニッチ技術ではない。世界中のメーカーが近年、SiC技術への投資を進めていることからも、その重要性が分かるだろう。また、CHIPS法(正式名称:CHIPS and Science Act)の制定により、その提供資金の大部分が、SiCを含むとする新しい半導体技術を適用した生産を拡大するために割り当てられる予定だ。このように現在急激に活用が進んでいるSiCは、今後どこに向かって進んで行くのだろうか。

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成長拡大の要因は

 Esparza氏は、「成長拡大の要因としては、高電圧対応コンポーネントを必要とする技術の種類が増加したことだけでなく、利用可能なSiCコンポーネントの種類の幅が広がったことなども挙げられる」と述べている。

 「ユーザーが高い満足度を得られるようなデバイスソリューションが登場するまでには、かなりの時間を要した。また、設計者たちが、電圧クラスや電流能力、パッケージタイプなどにかかわらず十分に検討可能なソリューションを利用できるようになるまでにも時間がかかった。SiCコンポーネントサプライヤーの観点から見ると、現在この分野には、強力な競争を繰り広げているメーカーが6社存在するため、設計者たちにとっては複数の選択肢があるといえる」(Esparza氏)

 その6社として挙げられるSiCメーカーは、Microchipと、Infineon Technologies、Wolfspeed、onsemi、STMicroelectronics、NXP Semiconductorsである。

 もう一つ、SiC市場の成長をけん引する重要な鍵となるのが、規模の経済が働くことによるコストメリットだ。

 Esparza氏は、「Microchipはコンポーネントメーカーとして、自社サプライヤーのコスト削減をサポートできると考えている。メーカーの生産量が増加すれば、重要な材料の利用度を高められるという恩恵を享受することができる。そこに到達するまでには時間がかかったが、1つの壁を超えることはできたといえるだろう」と付け加えた。

CHIP法、米国をSiC技術の世界リーダーへ

 Wendt氏は、「CHIPS法の策定に基づき最近行われている投資は、SiC技術が将来的に重要な半導体技術になるであろうことを明示するメッセージだといえる」と述べる。

 「CHIPS法は主に、一部の半導体製造を米国に回帰させることを目標としている。同時に、米国が世界半導体市場における強力なプレーヤーとしての位置付けを確保できるよう、技術開発を加速させていくことも目指す。そのような技術の一つがSiCである。MicrochipやWolfspeedのように、米国に本社を置き、SiC市場において重要な役割を担っているメーカーは、米国をSiC技術の世界リーダーとして躍進させていく上で、良い位置付けにある。電気自動車(EV)や太陽電池、高電力/高周波数アプリケーションなどの普及が進んでいることから、そのような位置付けを確保していくことは、非常に強力なメリットになるだろう」(Wendt氏)

アプリケーションも拡大

 SiCコンポーネントは現在のところ、数量ベースでみると、主に高電圧や耐熱性が重要視される産業用途で使用されている。またSiC市場では、データセンターやコンピューティング関連での採用も鍵になる。さらに、今後数年間で飛躍的な成長が期待されるアプリケーションの一つが自動車だ。

 EVの駆動系と充電システムの急速な普及に伴い、SiCは急速にEVの主役になりつつある。市場調査会社Omdiaの2022年のレポートによると、SiC市場における車載用途は急速に拡大し、2023年には同市場の33%を占めるようになるという。2030年には、SiC市場は140億米ドル規模となるが、そのうち78%が車載用途となる見込みだ。

 Esparza氏は、この成長は産業、データセンター/コンピューティング、通信、民生、航空宇宙/防衛を含むSiC市場全体にもプラスの効果をもたらすと確信していると語った。

【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】

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