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クルマの「電動化」を推進、TIのEV事業戦略:300mmウエハー工場を6カ所新設(2/2 ページ)
日本テキサス・インスツルメンツ(日本TI)は、「EV(電気自動車)事業戦略」に関する記者説明会を開催した。EVの本格普及に向けて同社は、安全性を確保しながら、「さらなるコストダウン」や「航続可能距離の最大化」「充電時間の短縮」につながる半導体デバイスを提供していく。
パワートレインの統合で、現行EVの課題を解決へ
TIはこれまで、「高度な運転支援システム」や「ボディエレクトロニクス」「インフォテインメント」などの機器に向けて、さまざまな車載用半導体デバイスを供給してきた。こうした中で、特に注目するのが「EV用パワートレインシステム」である。「コスト」や「航続可能距離」「充電時間」といった、現行EVの課題を解決するために重要となるのが、「パワートレインの統合」といわれているからだ。
例えば、バッテリーモニタリングシステムは、電圧や電流、温度などを高い精度で測定し、使えるパワーを最大化すれば、航続可能な距離を長くできるという。TIはワイヤレスバッテリー管理システムも提供している。これによって、大量に用いられているバッテリーパック内のケーブルを削減することができ、車両の軽量化につながる。「既に数社が採用を決めており、現在は機能安全などについて検証中」(Gary氏)という。
また、バッテリーパックの800V化への対応などによって、さらなる急速充電が可能になる。高電圧への移行に対しても、絶縁型ゲートドライバーICなどTI製の絶縁デバイスを搭載することによって、信頼性を高めることができるという。
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