村田製作所、シリコンキャパシターの生産能力増強へ:フランスに200mmラインを新設
村田製作所の生産子会社Murata Integrated Passive Solutionsは、シリコンキャパシターの生産能力を拡大すべく、フランス・カーンに200mmウエハー生産ラインを新設する。
村田製作所は2023年3月8日、同社の生産子会社Murata Integrated Passive Solutionsが、シリコンキャパシターの生産能力を拡大すべく、フランス・カーンに200mmウエハー生産ラインを新設すると発表した。既存の建物の中に新設されるラインで、2023年春から新設の準備を開始する。これにより、2023〜2025年にかけて100人超の雇用創出を見込む。
新設する200mmウエハー生産ラインでは、村田製作所独自の誘電体形成技術である「PICS(Passive Integration Connective Substrate)」を活用する。同社によれば、PICSは、電気特性に対して高い性能を実現するのが特長だという。新しい生産ラインの製品は、厚み40μmの小型サイズながら、高い性能と静電容量を実現するとしている。主に、携帯端末市場をターゲットとする。
Murata Integrated Passive Solutionsは、村田製作所が2016年10月に買収したフランスの旧IPDiAである。IPDiAは、2017年4月1日付でMurata Integrated Passive Solutionsに社名変更した。医療機器や産業機器、通信機器など、高い信頼性が要求される用途向けに3D(3次元)シリコンキャパシターを提供している。MLCC(積層セラミックコンデンサー)を手掛ける村田製作所は、シリコンキャパシターを「次の一手」として位置付け、旧IPDiAを買収した。
市場調査会社のTransparency Market Researchによれば、シリコンキャパシターの2021年の世界市場は15億8000万米ドルだった。2022〜2031年にかけて、CAGR(年平均成長率)5.4%で成長されると予測している。一方、Mordor Intelligenceの調査によると、MLCCの2021年の世界市場は116億3000万米ドル。2022〜2027年にかけて、CAGR6.03%で成長すると見込んでいる。
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