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ルネサス、NFC技術のPanthronicsを買収へ高成長市場の競争力を強化

ルネサス エレクトロニクスは、2023年3月、NFCチップセットやソフトウェアなどを手掛けるオーストリアのPanthronicsを買収すると発表した。モバイル決済端末、IoT、ワイヤレス給電などで高成長を続けるNFC関連市場での競争力を高める狙いだ。

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 ルネサス エレクトロニクス(以下、ルネサス)は、2023年3月22日、NFC(Near-Field Communication:近距離無線通信)チップセットやソフトウェアなどを手掛けるオーストリアのPanthronicsを買収すると発表した。モバイル決済端末(mPoS)、IoT(モノのインターネット)、ワイヤレス給電などで高成長を続けるNFC関連市場での競争力を高める狙いだ。買収は、2023年末までに完了する見込み。

NFC技術内製化で、市場機会を機敏に捉える

 NFC関連市場は、モバイル決済端末や非接触型決済に代表されるフィンテック、IoT、アセットトラッキング、そしてワイヤレス給電に用いられる事例が増加。近年、高成長を続けているという。ルネサスはPanthronicsについて、「高性能なNFCチップセットやソフトウェアを提供しており、その導入の容易さ、革新性、そして小型サイズという特長から、決済端末、IoT、そしてNFCによるワイヤレス給電に最適となっている」と評価している。

 両社は2018年からパートナーとして協業してきたというが、ルネサスは、「Panthronicsが持つ市場優位性の高いNFC技術を内製化し、成長著しいNFCの市場機会を機敏に捉えることができる。ルネサスの広範な製品ポートフォリオやMCU/MPUのセキュリティ機能とPanthronicsのNFC技術を組み合わせ、顧客に迅速に市場投入できる、革新的なNFCシステムソリューションを数多く提供できるようになる」と、今回の買収の狙いを説明している。

 ルネサスとPanthronicsは既に、mPoSやワイヤレス給電、電気自動車用充電器ウォールボックス向けにNFCソリューションを提供している。また、両社は、顧客がMCU開発ボード上で迅速かつ簡単にNFC機能を追加できるよう、ルネサスのクラウドベースの設計プラットフォーム「クイックコネクトスタジオ」エコシステムに互換的なNFC対応コネクティビティモジュールも開発したという。両社は現在、さらに決済端末やIoT、ワイヤレス給電、モバイル向けのシステムも開発中だ。また、ルネサスは今後、Panthronicsの技術を、デジタル鍵管理など自動車向けソリューションにも活用していく予定としている。

 ルネサスの社長兼CEO(最高経営責任者)である柴田英利氏は、「ルネサスは、顧客に提供するソリューションの幅を拡げ、差異化する上で、コネクティビティ技術を重視してきた。Panthronicsのコネクティビティ技術を獲得することで、高成長のNFC関連市場において、顧客のニーズに応えていく」とコメントしている。

 今回の買収は、ルネサスの取締役会において全会一致で可決されていて、規制当局による承認および合併契約に定める一般的な買収手続きを経て、2023年末までに完了する見込みだ。

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