ニュース
加賀東芝、パワー半導体新製造棟の建設を開始:300mmウエハーに対応
東芝デバイス&ストレージ(東芝D&S)は、加賀東芝エレクトロニクス(石川県能美市)で、300mmウエハー対応パワー半導体新製造棟(第1期)の起工式を行った。2024年度中の稼働を予定している。
パワー半導体の生産能力は2021年度に比べ2.5倍に
東芝デバイス&ストレージ(東芝D&S)は2023年4月、加賀東芝エレクトロニクス(石川県能美市)で、300mmウエハー対応パワー半導体新製造棟(第1期)の起工式を行った。2024年度中の稼働を予定している。第1期分がフル稼働すれば、同社パワー半導体の生産能力は2021年度に比べ2.5倍となる。
東芝D&Sはこれまで、加賀東芝を中心に200mmウエハー対応製造ラインの生産能力を増強してきた。加賀東芝の既存棟では2022年度下期より300mmウエハーを用いて、パワー半導体の生産を始めている。自動車の電動化や産業機器の自動化などにより、パワー半導体の需要は今後も拡大する見通しから、2022年2月に新製造棟の建設を決めた。市場動向を見極めながら、2期に分けて投資を行う計画で、今回建設するのは第1期分となる。
新製造棟は、免震構造の採用や電源などの2重化によるBCP(事業継続計画)の強化を図った。また、使用する電力は100%再生可能エネルギーで対応し、人工知能(AI)の活用などにより、製品品質や生産効率を向上させる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- Rochesterが東芝D&Sと契約締結、日本での事業を加速
Rochester Electronics(ロチェスター エレクトロニクス)は2023年1月24日、東芝デバイス&ストレージ(東芝D&S)とパートナーシップ契約を締結したと発表した。同社が日本の半導体メーカーと契約を締結するのは、これで4社目となる。 - 東芝、姫路工場にパワー半導体後工程新棟を建設へ
東芝デバイス&ストレージは2022年12月19日、姫路工場(兵庫県太子町)内に、新たに車載向けパワー半導体の後工程製造棟を新設する、と発表した。新製造棟は2024年6月に着工、2025年春に稼働開始予定だ。 - 東芝、省イリジウムの電極を従来比500倍に大型化
東芝は2022年10月7日、再生可能エネルギー(再エネ)の電力を水素などに変換し、貯蔵/輸送を可能にするPower to Gas(P2G)技術において、希少なイリジウムの使用量を従来比10分の1に抑えた電極を、最大500倍大型化する製造技術を確立したと発表した。 - 東芝、GFMインバーターによる系統安定性を実機検証
東芝は、マイクログリッドの安定稼働を実現するGFM(Grid forming)インバーターについて、その効果を実機検証したと発表した。GFMインバーターを搭載した太陽光発電を用いた実験では、系統周波数(東日本では50Hz)の低下を約3割抑制できることが分かった。 - 第3世代SiC MOSFET、スイッチング損失を大幅削減
東芝デバイス&ストレージは、同社として3世代目になる「SiC(炭化ケイ素)MOSFET」を開発し、2022年8月下旬から量産を始める。同社第2世代製品に比べスイッチング損失を約20%削減できることを確認した。 - 東芝、ダブルゲート構造の逆導通型IEGTを開発
東芝デバイス&ストレージと東芝は、ダブルゲート構造を採用することでスイッチング損失を低減した、耐圧4500Vの逆導通型IEGT(電子注入促進型絶縁ゲートトランジスタ)を開発したと発表した。2025年以降の実用化を目指す。